【2021年年頭所感】日本ロボット工業会「ロボットの社会実装を加速」小笠原浩 会長

日本ロボット工業会 小笠原浩 会長

 

新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 
本年の年明けは、例年と異なり昨年初頭より世界中に蔓延した新型コロナウイルス(COVID-19)の猛威が、第2波、第3波と更に拡大方向にある中で静かに迎えることとなりました。なかなか終息の兆しが見えない状況ではあるものの、ワクチンの実用化が進み、既にその接種も始まりつつあることから、その効果による感染拡大抑止に大いに期待を寄せるところです。
 
このような中ではありましたが、昨年末、惑星探査機「はやぶさ2」が6年50億キロもの旅を経て、小惑星リュウグウからの試料を収めたカプセルを見事に地球に帰還させた偉業は、日本国民に大きな感動と元気を与えるとともに科学技術への大いなる信頼と期待を抱かせる明るいニュースでした。
 
翻って、このコロナ禍下での2020年の世界経済を見ると、昨年10月の「IMF世界経済見通し」では対前年比▲4.4%と予測しており、我が国においても経済活動の抑制によって生産、雇用・所得、企業収益、そして個人消費の落ち込みといった厳しい年でした。その中にあって、中国ではCOVID-19のいち早い終息とその成長回復が著しく、主要国では唯一のプラス成長となりました。
 
明けて2021年の今年は、IMFによる世界経済見通しで対前年比5.2%のプラス成長とするほか、米国の次期政権ではコロナが完全に終息するまで金融緩和を継続することで、景気支援のさらなる強化が期待されるなど、世界経済は緩やかながら景気の回復が期待されています。
 
このような状況の下、2020年のわが国ロボット産業は、コロナ禍の影響等により年初よりマイナス傾向が続きましたが、中国からの外需増が年後半からの輸出市場を牽引し、全体としてプラス成長が見られました。これにより2020年は、受注額で対前年比4.7%増の8500億円、生産額では前年並みの7790億円となると見込まれます。
 
そして、本年のロボット市場は、緩やかな景気回復とともに、従来からの底堅い自動化需要に加えて今回のコロナ禍による感染防止対策上での新たなロボットニーズも生まれており、受注額は対前年比4%増の8840億円、そして生産額は5.6%増の8220億円の見通しとしました。
 
政策面では、政府が2019年7月に取り纏められた「ロボットによる社会変革推進計画」において、ロボットの社会実装を加速することで社会変革を推進するとして、人材育成、エコシステム、R&D体制の構築やオープンイノベーションを重点に各種政策を強力に展開しています。そして、昨年7月に産学連携のロボット人財育成機関としてロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会内に「未来ロボティクスエンジニア育成協議会(CEHRSI)」が設立されたほか、同8月に社会実装を加速するオープンイノベーションの観点より「技術研究組合産業用ロボット次世代基礎技術研究機構(ROBOCIP)」が設立されるなど、新たな活動がスタートしたところです。
 
当工業会としても、昨年はコロナ禍の影響により事業活動では様々な影響を受けましたが、「withコロナ」が常態化する中で、事業の取組方法に違いはありますがロボットの社会実装を加速し、ロボットの利活用推進にあたって全力で取り組む所存です。そして、当工業会の活動の柱となっている「市場拡大に向けた取組」、「イノベーションの加速化」、そして「国際標準化の推進、国際協調・協力の推進」の三つを主体的に行うこととしております。
 
特に、市場拡大に向けた取組としては、その担い手でもあるFA・ロボットシステムインテグレータ協会が、昨年度試行した「ロボットSI検定3級」を本年度より正式に実施運用することとしており、システムインテグレーションに対する専門性の高度化に向けた人材育成の活動をはじめ、業界ネットワークの構築やマッチング活動等の事業を更に積極的に展開することと致しております。
 
また、イノベーションの加速化では、ロボット関係学会及び関連業界との連携を通じ、市場の獲得・拡大、更にはわが国競争力の維持・向上を図ることとしています。
 
そして、ロボットの国際標準化では、JISY1001(サービスロボットを活用したロボットサービスの安全マネジメントシステムに関する要求事項)が2019年5月に制定されたのに併せ、ISO/TC299へ新規作業項目の提案を行った結果、2020年7月に新たなWGとして採択・設置され、日本が議長国となってISO規格制定に向けた審議が開始されることとなりました。このように国際標準や国際交流についても引き続き積極的に推進することとしております。
 
展示会に関しては、コロナ禍で昨年中止となった「実装プロセステクノロジー展」を5月26日〜28日に、また、延期となっていた「JapanRobotWeek」を7月8日〜11日に開催するとしております。いずれもCOVID-19の感染状況を見つつ、対策に万全を期して準備を進めてまいります。その一方、本年12月に開催予定であった「国際ロボット展」については、東京オリンピック・パラリンピックの開催上、残念ながら年を越して2022年3月9日〜12日での開催となりました。
 
そして、当会は2022年10月に創立50周年を迎えますが、その「50周年記念事業」企画について現在検討を行っております。それらの具体化と準備作業を2021年度より本格的に取り組むほか、市場調査、技術振興等の各事業についても意欲的に展開する所存です。
 
引き続き関係各位の一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご活躍とご発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

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