中古ロボット最新事情 改修・再利用の時代へ、中小製造業などで高需要

2020年7月15日

自動車に中古車があるように、パソコンやコピー機などOA機器、工作機械や半導体製造装置といった産業機械でも中古市場はにぎわっている。特にメーカーが買い取って品質をチェックし、改修して再販売されるリビルド品は価値が高く人気があり、国内の中小製造業や新興国などで重宝されている。

そうした中古市場がロボットでもはじまっている。

 

メーカー、ロボSIら専門家が推進

ロボットメーカーで先行しているのはABB。ロボットを買い取り、改修して再生するリマニュファクチャリング施設をチェコのオストラバを中心として、米国・オーバーンヒルズ、中国・上海、ブラジル、メキシコ、ドイツ、ベトナムに設けている。25年以上にわたってロボットの再生、販売を行い、これまでに数千台を出荷してきたという。

ABBの再生センター

 

厳密なテストを経て新品同様に 保証付きの販売も実施

国内でも、ロボットシステムインテグレーターでFA・ロボットシステムインテグレーター協会会員企業の松栄テクノサービスが中古ロボットの買取・販売を手掛けている。もともとロボット・溶接機のサービス・メンテナンスに強みを持ち、それを生かす新業態として中古ロボット・溶接機の流通専門サイト「ロボチューブ」を開設。中古ロボットに対する情報発信と取引を行っている。

ロボットは生産設備であり、中古とは言え新品同等の状態と品質、保証が求められる。その点、ABBの場合、すべて最低16時間の機能テストを含む厳密なチェックが義務付けられ、それを通過した製品だけがABB認定のラベルが付けられる。また再生ロボットには2年間の保証が付き、新品購入時と同様に設置やトレーニングなどのサポートが受けられるようになっている。

同社のグローバルリマニュファクチャリング&ワークショップ・リペアセンターのJan Borskyセールスマネージャーは「世界最大級の中古ロボット、修理済みロボットの在庫を有し、400種類のロボットを販売用にストックしている。現在、セカンドライフロボットの需要は非常に高いため、1日1台以上のロボットがオストラバから出荷されている」としている。

松栄テクノサービスでも、専門家による完全整備と動作テストを行い、取り扱い方法やティーチング、メンテナンスなどのサポートも行い、3カ月の保証も付けて販売している。

 

最新デジタルサービスも利用可能に

また近年はスマートファクトリーやデジタル化が進み、ロボットは現場で働くハードウエアとしてそれらの中核を担うと期待されている。そのため最新のロボットシステムにはネットワークや周辺機器との接続性やデータ活用、稼働管理や予知保全といったデジタル機能が数多く盛り込まれるようになっている。

古いロボットに最新の機能を望むのは酷な気がするが、ABBでは最新のコントローラにアップグレードし、「ABB Abilityコネクテッドサービス」やオフラインプログラミング&シミュレーションソフト「RobotStudio」、安全機能である「SafeMove」といった最新機能も利用可能になるという。これにより柔軟性と生産性が増し、ロボット長寿命化で費用対効果を上げられるとしている。

 

高品質なものを手ごろな価格で

もともとロボットのアーム本体はエンドエフェクタを変えることで多様な仕事に対応でき、専用機に比べて汎用性が非常に高い。ロボットはあくまで生産システムのイチ部品であり、再利用にも適している。

これまでロボットの導入企業は自動車や電気関連がほとんどだったが、今はすべての業界でロボットへの関心が高まっている。特に協働ロボットの登場によって、より使いやすく、広い領域で使えるものも出てきている。新品販売とともに中古市場が整備され、より手ごろな価格で手に入れられるようになるとユーザーの選択肢は増え、普及ハードルは下がる。中古市場の整備がロボット普及スピードをもう一段高いレベルに引き上げることは間違いない。