NEC オリックス・レンテックと協業、ロボット導入支援を拡充

手軽に試せる基盤整備

スマートファクトリーのはじめの一歩として真っ先に挙がるのがIoT導入だが、ロボットや自動化も同様。その延長線上にスマートファクトリーがある。

NECはITのイメージが強いが、その本質は100年以上も長く続けてきたものづくり企業。近年そのノウハウを外部に提供し、スマートファクトリー化の支援を進めている。昨年からはロボットシステムインテグレータとしても活動開始。

1月からはロボットレンタルサービスを手がけるオリックス・レンテックと協業し、より多くのユーザーに手軽にロボットを試せる基盤を整えた。

 

スマートファクトリー化

ロボット導入に関心があるものづくり企業は多いが、あくまでロボットは人手不足や生産性向上に役立つ現場のツールのひとつ。さらに先の事業展開を考えると、IoTやAIも含めて生産ラインや工場全体の能力を上げるスマートファクトリー化は不可欠。将来のスマートファクトリー化を見据えた上で、現時点の最適解としてのロボット導入と捉えた方が正解だ。とはいえ、スマートファクトリー化の実現には必要な要素と技術の数が多くて複雑。自社だけでは到底対応できず、信頼できるパートナーの存在が不可欠とされる。

しかし現実にはそこまで技術をカバーし、対応できる企業は決して多くなく、相談できる相手を探すだけでも大変だ。

それに対しNECは、自身のものづくりノウハウとICT技術を融合し、ものづくり企業のスマートファクトリー化の支援を進めている。特に近年はデジタル化やIT基盤整備に加え、ラインビルダーやロボットシステムインテグレータとして生産ライン構築やロボット導入にも力を入れ、ロボットから始まるスマートファクトリーへの道筋を支援している。

 

インテグレータでタッグ

スマートインダストリー本部ものづくり企画・プロモーショングループ岡野美樹シニアマネージャーは「NECは昔も今もものづくり企業。NEC製品の開発・製造を担っているNECプラットフォームズでは、通信機器やサーバー、業務用機器などを、IoTやロボットなどデジタル技術を駆使して製造している。その現場で実践したノウハウをものづくり企業に提供する」という。

同社は昨年、ロボットシステムインテグレータ事業に参入を発表。玉川事業場(川崎市)内に未来のものづくりコンセプト「NEC DX FACTORY」を体感できる共創スペースを開設するなど、現場レベルの問題解決に向けた取り組みを開始している。もともと現場革新に向けた支援は行っていたが、より現場レベルまで深く入り込み、現在は現場診断からカイゼン、自動化やロボット化のコンサルティングや導入支援を進めている。

玉川事業場のデモライン

ロボットでは、ものづくり企業が簡単で手軽に導入できるよう、特定アプリケーションに向けてロボットシステムを開発。ロボットラインの構想企画からシステム開発までトータルで提供し、導入スピードやコストメリットに優れ、ユーザーの反応も上々だ。

一方で、パッケージは用途が明確で完成品に近いとは言え、いきなり1000万円を超える設備投資は難しい。もっとじっくり検証してから判断したいという声は多い。そこで同社は製造業向け機器レンタル大手で、ロボットレンタルサービス「ロボレン」を行っているオリックス・レンテックとロボットシステムインテグレータ事業で協業し、ロボット導入に向けたレンタルにも対応できるようになった。

 

協業のイメージ

 

導入ハードル下げ後押し

強みは「現場経験の還元」

ロボット導入の課題は、現場のロボット導入スキルや経験値の不足と、初期コストの大きさがある。今回の協業により、前者はNECの生産現場と工場構築のノウハウを持った匠がサポートし、後者はオリックス・レンテックのロボレンサービスで解決。さらに同社はロボットだけでなく、装置からデータを集めて稼働監視や分析サービスも提供し、ものづくり企業のスマートファクトリー化を支援していく。

「当社の工場でもロボットを使っており、その中にはレンタル品もある。どの工程の、どういった段階であればロボットを購入またはレンタルした方が得かということは分かっている。例えば、大量に作る共通部品の組み立てはロボットを購入した方がよく、生産する品種が短期間で変わるような場合はレンタルの方がコストパフォーマンスは良い。こうした現場の経験を還元できるのが強みだ」(高野智史主任)

ロボットレンタルが加わったことで提供できるサービスが増え、より多くのユーザーに当たることができる。スマートファクトリー化の支援はこれからが本番だ。岡野シニアマネージャーは「スマートファクトリーやロボット導入に興味はあっても費用面で進められないという声は多い。ロボットレンタルによって解決手段が増えた。人手不足や自動化など現場の課題に対していろいろやりたいという企業に向け、今後も解決のためのメニューを広げていく」としている。

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