JMAS 新IoTシステムサービス開始、現場の作業実態を可視化

国内には37万カ所の工場があり、そこでは約800万人が従事している事実がある。人が現場を動かし、工場を支える。その流れは急には変わらない。

ジェーエムエーシステムズ(東京都港区、JMAS)は11月、人が働く現場の強化を支えるIoTシステム「WorkReport(ワークレポート)」の提供を開始した。

 

いま市場で流通しているIoTサービスは、機械や設備の稼働状況を把握するものが中心。それに対し同製品は現場の作業員にスポットを当て、これまで把握が難しかった人の作業の実態「いつ、どこで、誰が、何をしたか」が可視化できるシステムとなっている。

現場の作業員が使っているスマートフォンで、作業確認や記録、実績報告が可能。アプリをインストールするだけで使える。作業員が業務開始時にその日の作業予定をダウンロードし、業務開始を押す。業務終了時にはその日の作業実績をアプリ上で入力し、業務終了を押すだけ。作業ごとのデータ入力はビーコンで自動入力。操作は簡単で、作業員の手間をほとんどかけることはない。

入力されたデータは全てクラウドに蓄積され、企業はそのデータを自ら加工して利用する。現段階では見える化システムを提供していないが、来年初旬には追加機能として提供する予定となっている。価格は初期費用50万円/月額利用料10万円~。無料トライアルも可能だ。

 

改善進める企業に最適

生産、物流、建設、工事、メンテナンスなど、従来はデジタル化が難しかった人作業中心の現場を対象とし、協力会社やパートタイマー、アルバイトを含め多人数が働く現場、設備点検や訪問メンテナンスなど広域に散在する現場、建設、工事、プラントメンテナンスなど、案件や工程といった目に見えない管理単位がある現場等に適しているという。

同社事業企画部 事業企画グループ アーキテクトの袖嶋嘉哉氏は「改善やQCが定着している企業、もっと改善サイクルを回したいと熱心な企業に最適だ」とし、IoTはあくまで現場改善のためのツールであり、その手法を実践してこそ効果が生きるとしている。

機械や設備に比べて人の活動にスポットを当てたIoTサービスはそれほど多くない。その理由について袖嶋氏は「人の活動は定型化できない作業や突発的に起こるトラブルの対応など、種類も時間も多岐に渡る。また活動の評価基準は、時間効率だけでなく、安全や品質なども考慮しなければならず、一律にIoT化するのは難しいからだ」と解説する。

生産工程や機械や装置の場合、作業内容やスケジュールなど定型化されているからIoTがやりやすいが、人はその正反対だという。

 

デジタル日報との違い

同製品は、機能だけ見ると、よくあるデジタル作業日報や作業指示と変わらない。しかし異なるのが、人と工程の作業予定と実績、取れ高の3種類のデータを扱うことによる効果だ。

これまでの作業日報で出せるのは、その日に完了した作業内容と結果だけ。ある作業に長時間かかっていたことは分かっても、それ以上は見えてこない。

しかし、そこに作業予定という軸を加えることで、予定を効率的にさばくことができたか、さばくためにどうすべきか、限られた時間のなかで品質を高めるためにはという視点に変わる。これにより稼働率やロスが発生する構造を把握でき、そのための改善策を講じる流れにつながる。さらに要員の稼働や投入工数も把握でき、要員・工数・原価管理も容易になる。

 

また国内製造業は多品種少量生産が多い。そこではマネジャーやリーダーが現場に適切な指示を出すのが難しくなっているが、予定と実績、リアルタイムに進捗が把握できることで、作業指示の修正や調整がやりやすくなるという。

袖嶋氏は「今は限られた資源の中でアウトプットを高めることが大事になっている。そのためには、現場・現物・現状を把握することが大事であり、それを見て改善していくことが必要になる。ワークレポートは、人と現場の状態を眺めるためのツールであり、これからに向けた足元固めのためのもの。IoTツールとコンサルの両方を提供し、改善サイクルを定着させることで現場力強化に貢献したい」と話している。

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