太陽光発電システムとアークフォルト火災防止へ万全な対策を

太陽光発電が一般家庭まで普及するのに伴い、安全な取り扱い方が求められてきている。これは太陽光発電が一般的によく使われている交流ではなく、直流であることからだ。しかも、ソーラーパネル、接続箱、パワーコンディショナーなどで、電圧や電流を高めるため、デバイスを直列・並列接続で重畳していることで、この接続部、あるいは接合部において事故が起きている。これがいわゆる「アークフォルト」現象で、制御不能になったアークのことを言う。欧米ではDC12Vでは起きないが、DC24Vでは起きることが実証されているが、日本では高電圧・大電流で起こる高電圧工学の現象と理解している人が多い。こうした用途では、サーキットプロテクタ(CP)を従来通りに使っていては直流の安全は確保できないことが分かってきた。当社の研究所でもDC24Vでアークフォルトが発生し、繰り返し性があることを確認している。

アークフォルトは、制御不可能な放電現象で、1000℃を超える高温により火災を起こす太陽光パネル、リチウムイオン電池による焼損事故である。日本ではまだあまり知られていないが、欧米では太陽光発電の効果とリスクの両面から、太陽光発電の普及とともに指摘されてきた。ドイツではそのアフターセールス(メンテナンス事業)も同時に進行し、今では1兆円規模の市場と、30万人の雇用を生む産業に育っている。

日本では太陽光発電のプラス効果の面が優先し、故障や事故についてはあまり真剣に取り上げられていない。そのためか、太陽光パネルメーカーでは25年間、性能を保証するようなところも出てきている。しかし、そこには詳細なメンテナンスコストや安全性について記載されることは少ない。米国ではすでにアークフォルトによる火災が起こっていることから、NEC(米国電気工事規程)では規格化による安全基準が検討されており、今年中にもUL1699Bとして試験方法が確立し規格化される見通しとなっている。

アークフォルトを防止するためには、CPやリレーにアークフォルト検知器(AFD)をビルトインすることが対策の一つになる。CPにオプションとして内蔵することで、CPが過電流だけでなく、アークフォルト防止対策としての機能も果たすことになり、CPに次世代の役割が加わることになる。

アークフォルトは、太陽光パネルでもリチウムイオン電池でも発生する。リチウム電池は熱暴走すると制御不能になるため、1パックごとに物理遮断機能を持たせ隣接するバッテリを守っている。しかも、パックごとにID管理することで、火元の特定もできる。AFDを電池システムに組み込むことで、安全かつ長期間の運用が可能になり、米国やドイツでは火災保険の特約条件になる可能性が今後見込まれている。

リチウムイオン電池には、バッテリを個別と全体で監視することで、事故時の責任区分(バッテリか負荷か充電装置か)を明確にする複層保護を内蔵した電池がある。バッテリパック内部に過電流か、バッテリ管理システム(BMS)の異常信号(過電圧・過放電・過昇温)のどちらかで作動するCPを組み合わせ、セットメーカーの設計基準とは別の付加回路で引き離しできる。これによって、バッテリメーカーのBMSと同期駆動させ、セットメーカーの外部プロテクタと併せて複層でバッテリと負荷を保護できる。

また、太陽光パネルでもAFDと連動したリモート制御ができる太陽光パネル専用遮断器を取り付けることで、火災のリスク管理ができる。日本の太陽光発電も多くは接続箱を1階に設置している。しかし火災時には、そのスイッチ(遮断器)を切ったとしても、昼間であれば屋根から送電される長いケーブルに高電圧がかかり続けていることから、放水することは非常に危険になる。したがって、接続箱はケーブル長を最短にするため、遮断器は屋根裏、あるいはパネルの至近距離に設置することが望ましい。当然、リモート制御する機能は1階に設置し、容易にスイッチオフできることが大切になるが、この当たり前の危機管理がまだできていないところが多い。

太陽光発電を安全に使用するためにも万全な対策を行っていくことが必要だ。
(筆者=株式会社イーティーエィコンポーネンツ代表取締役
江角敏史氏)

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