普及に加速 太陽光発電システム 電力産業用の導入増加へ 関連受配電機器の需要急伸

太陽光発電システムは普及速度を加速させている。2020年に05年の約10倍、30年には約40倍の導入規模が予想されており、市場の拡大は今後も続く。とくに、欧米と比べ普及の遅れている電力産業用の導入増加が見込まれている。政府の規制緩和策により導入環境が改善、電力会社の計画に加え、民間企業のメガソーラー建設に拍車がかかる。太陽光発電システム関連受配電機器各社にとって長期成長市場として期待できる。
20年度需要1400万kW

再生可能エネルギー発電設備の導入は、資源エネルギー庁によると、2012年度第3四半期までに運転を開始した設備容量は、約117・8万kW。太陽光発電は約9割以上を占め住宅用が91・1万kW、同非住宅用が20・8万kWとなった。12月末までに認定を受けた設備容量は住宅用が84・7万kW、非住宅用が385・7万kWで非住宅用の伸びが見込まれる。

太陽光発電の需要は05年140万kWであったが、20年度には1400万kWと約10倍に増える。11年から20年の間に住宅用約320万戸に普及し、産業用・公共用ではポテンシャルの1割が導入すると見込んでいる。さらに、市場は拡大し、30年には5300万kWに達すると予測されている。20年以降は、住宅用市場は飽和するが、非住宅用が市場の約4割を占める。

太陽光発電システム導入が加速する背景として、政府の規制見直しによるところが大きい。経済産業省は、工場立地法を政令改正し太陽光パネルを適用対象から外し、売電用パネルも省令・告示改正で環境施設に組み込んだ。屋根貸しに関する太陽光発電設備も規制緩和した。

国土交通省は、パワーコンディショナーを収納するコンテナの建築基準法上の取り扱いを明確にし、通常内部に人が立ち入らないことを条件に建築確認は不要とした。屋上設置に関しても架台の下に人が立ち入らないことを条件に建築確認を不要とした。また、市街化調整区域における太陽光発電設備の付属施設の取り扱いを明確にし、条件を緩和した。こうした政策と買取制度のスタートで、太陽光発電システムの導入が一気に進んだ結果、現在では施工が間に合わない状況。

日本の太陽光発電システム導入は、住宅用が先行しているが、今後は電力産業用が急増する見込みである。欧州では発電事業用や業務用が中心であり、ドイツでは10年で7408MWのうち電力産業用が70%を占め、住宅用は30%である。米国でも878MWのうち電力向け発電事業の比率が高く、電力産業用65%、住宅用35%であるのに対し、日本は992MWのうち住宅用が81%で、電力産業用は19%と低い。今後、日本でも非住宅向けの比率が増えるといわれている。こうした市場の成長により、太陽光発電システム関連受配電機器の需要も増加の一途をたどっている。

太陽光発電システムは太陽電池モジュール・アレイ、接続箱・集電箱、パワーコンディショナー、気温計、日射計、表示装置、データ収集装置、受配電盤、架台などで構成されている。

パワーコンディショナー、接続箱・集電箱、受配電盤には多様な制御機器や開閉器が搭載されている。

接続箱・集電箱用に直流MCB、直流MCCB、交流配線用遮断器・漏電遮断器などの遮断器や開閉器など専用機器が各社から発売されており、使用されている。分電盤には単相3線回路の太陽光発電用漏電遮断器など専用の開閉器が採用されている。受配電盤には高圧真空遮断器、昇圧変圧器など。パワーコンディショナーもインバータをはじめ制御機器が使われている。端子台も太陽光発電用が発売されている。また、パワーコンディショナーを収納した増設用キュービクルも登場している。落雷対策やアークフォルト対策も必要不可欠になっており、避雷機器・装置、サーキットプロテクタなどが採用されている。

パワーコンディショナーの出荷量の推移は、太陽光発電システム受配電機器の動向に直結する。

日本電機工業会は、10年度太陽光発電用パワーコンディショナーの出荷量動向調査報告をHP上で公表している。パワーコンディショナー生産の19社から回答を得たデータを分析しまとめた。それによると、10年度の総出荷台数は25万6315台、前年度比148・3%の大幅な伸びを示している。仕向け先別では、国内住宅向けが前年度比142・1%の23万3304台、非住宅向けが同152・4%の4937台である。

出荷容量別では、10kW未満が24万4348台で全体の95%を占める。
国内規格、国際標準を整備

工業会では太陽光発電システムの導入拡大へ国内規格および国際標準の整備を進めている。パワーコンディショナー安全性基準、電磁両立性規格、太陽光発電システム用中継端子箱などである。

規制緩和や標準規格の整備など太陽光発電システムの導入環境が改善される中で、関連受配電機器各社から新製品が相次いで発売されており、市場構成は住宅用から産業用へ比重が変わるものの拡大路線は続くものと見られる。

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