広がる2次電池の用途 低炭素社会の実現へ 社会インフラ用に期待高まる リチウムイオンに注目

2次電池は従来、バッテリーと呼ばれる鉛蓄電池が車両(主に自動車)用に用いられてきた。現在では、この鉛蓄電池のほか、リチウムイオン2次電池やニッケル水素2次電池などが2次電池の主流となっており、自動車・航空機・農業機械などの各種車両から、ノートパソコンやデジタルカメラ、携帯電話、EV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド車)など様々な機器・車両に利用されている。

最近では携帯機器に代表されるように、その電気容量が製品購入時の目安になることが多く、最新技術のバッテリーが採用されている。特にノートパソコンでは、大容量の外部バッテリーが販売されており、AC電源供給のない場所でも安定した利用を可能としている。

2次電池に求められる特性は、電圧、放電容量、出力密度、充電効率、サイクル寿命、保存寿命(自然放電)などが挙げられ、現在、一般的な2次電池として上記の2次電池のほか、リチウムイオンポリマー2次電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池などがある。

従来の鉛蓄電池は、自動車や二輪車の始動用のほか、フォークリフト、UPSなどに使用されているが、現在2次電池の主流となっているリチウムイオン2次電池は、正極にリチウム化合物、負極にグラファイトやカーボンなど炭素系材料を使用。ノートPCや携帯電話、電動工具、デジタルカメラ、EVなどに使用されている。また、ニッケル水素電池は正極にニッケル化合物、負極に水素吸蔵合金を使用。コードレス電話やデジカメ、電動工具、HEVなどに使用されている。

一般的なリチウムイオン電池のサイクル特性は、1000回充放電すれば、放電容量は初期の80%まで下がるが、最近開発・製品化されたリチウムイオン電池は、正極にリチウム化合物、負極にチタン酸リチウムを使用、6000回充放電しても、放電容量は初期の90%以上を維持するという長寿命を示す。充電特性についても5分の充電で全容量の約90%の急速充電が可能で、〓30度の低温でも使用が可能。キャパシタ並みの入出力密度と大実効容量、熱的に安定という非常に優れた性能を持つ。

こうしたことから、開発メーカーでは、高出力のHEV用2次電池としてすでに実車搭載試験を実施、実用化に向け積極的に事業展開を推進している。将来的には、一般家庭での定置用用途など、スマートグリッドや低炭素社会実現に向けた2次電池の開発を進めており、将来のインフラバッテリーとして注目される。

一方、リチウムポリマー2次電池では、液体の電解質をポリマー内に固着させ、固体と液体の中間のゼリー状にすることで、非常に薄い形状や角形以外の任意のバッテリーを作ることが可能になった。単位面積当たり蓄えられるエネルギー量が増加したことで、駆動の長時間化、従来と同じ駆動時間で小型軽量化が可能となった。加えて、外力や短絡、過充電など、耐性が大幅に向上して簡単な外装で済むようになった。

こうしたことから、同2次電池を展開しているメーカーでは、携帯電話やPDA、ノートパソコン向けに採用を進めているほか、EVや船舶向けといった大型エネルギー貯蔵媒体用としての用途展開も視野に入れ、専門の販売部隊を創設するなど、積極的な事業展開を行っている。いずれも2次電池の可能性を大きく飛躍させる2次電池事業として注目が集まっている。

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