【FAトップインタビュー】日本市場での本格的な浸透を図るTURCK 日本でのソフトウェア開発も強化し、部品サプライヤーからお客様の開発パートナーへ ターク・ジャパン 福田洋介 代表取締役社長

ドイツのFA機器メーカー・TURCK(ターク)の日本法人であるターク・ジャパン。2017年から日本市場で本格的に直販をメインとした営業体制をスタートさせ、着実に成長を続けてきている。2025年はエンドユーザー向けのビジネスが好調で、2026年はさらに、日本の顧客向けの新製品の投入やソフトウェア開発も含めたカスタマイズやソリューションの提案など、日本市場に適した形でのビジネスを強化している。
代表取締役社長の福田 洋介 氏に、現状のビジネスと今後の戦略について話を聞いた。
2025年上期は好調 在庫調整もひと段落
――2025年を振り返っていかがでしたか
おかげさまで、2025年は前年度を上回る業績で推移することができました。お客様の在庫調整も一段落し、市場全体の状況を良くしていると感じており、世界的に見ても、特にAPAC(アジア太平洋)地域は売上・受注ともに好調で、日本もその波に乗れた形です。今そこにある生産設備への自動化や省人化需要は堅調で、安定した業績につなげることができました
当社のお客様は装置メーカーとエンドユーザーに大別でき、装置メーカー向けは、高機能センサと制御機器等によるコスト削減と高付加価値化のセット提案を2本柱とし、できる限りお客様の設備と近い距離感で、フェイスツーフェイスでの活動を徹底しています。対面で課題を聞いて実機デモを見てもらう活動を繰り返すことで日本市場での知名度がまだ低いTURCKブランドの認知と信頼感、安心感の醸成を強化しています。
製品としては、制御機器のコネクタ化が加速し、得意とする「分散制御」「キャビネットレス」「ボックスレス」の価値が高まっており、これらをセットで提案し、実装・運用まで技術サポートを進めています。
エンドユーザー向けでは、既設設備への「状態監視システム」を中心に提案し、これが非常に好調で、今も順調に推移しています。
小規模で安価、小さく早く始められる状態監視システム
――状態監視システムは競争が激しいと思いますが、御社の製品が受け入れられた理由は?
当社が強みとしているのは、50万円から300万円程度といった比較的小規模から中規模のシステムです。いわゆる「スモールスタート」で始められる手軽さが、お客様に評価されているのだと思います。
当社の最大の強みは、センサから制御装置、HMI、さらにはプログラムまで、状態監視に必要なコンポーネントを幅広く自社でラインナップし、お客様の「モーターの振動と熱を測りたい」「流量や電流値、湿度も監視したい」といった様々な要望に対して、パズルを組み立てるように最適な製品を組み合わせ、ソフトウェアも日本法人で独自開発したものを組み込み、過不足のないシステムをちょうど良い価格で提案できます。
さらに、システム全体をコネクタで接続できるようにしているため、お客様側での大掛かりな電気工事が不要で、導入の手間とコストを大幅に削減できる点も喜ばれています。
センサからデータ収集、可視化までを1社でまかなえ、しかも安価にパッケージで提供できるメーカーは、実はそれほど多くありません。お客様が取得したいデータやその方法は千差万別で、振動センサーならこの会社、流量センサーならこの会社と、個別の製品で強いところはあっても、当社のようにシステム全体を柔軟に組み上げて提案できる企業は珍しいと思います。ほとんどの場合、複数のメーカーから必要な製品をかき集めてシステムとして構築し、それをキチンと動くようにプログラムし、可視化ツールも用意する必要があるので、どうしても高額になり、規模が大きくなってしまうのです。そのあたりと明確に差別化できていて、お客様一人ひとりのご要望にきめ細かく対応できることが結果として好調さに繋がっているのかもしれません。


日本法人で独自のソフトウェア開発も
――ソフトウェア開発まで日本法人で行えるというのはすごいですね
外資系メーカーの現地法人の場合、多くは機器の営業が主ですが、当社は技術者が在籍し、日本法人で独自にソフトウェア開発まで手掛けています。例えば、当社のリモートI/Oからデータを簡単にロギングできるWindows用のソフトウェアについても、日本法人で独自開発したものをお客様に提供しています。もともとは有償での提供を考えていましたが、お客様の利便性を最優先し、いまは無償で提供しています。
この背景には、ドイツ本社が「単なる部品供給業者から、お客様の開発パートナーへ」という大きな方針転換を掲げ、各ローカルの現地法人の裁量を大きくしたことがあります。この方針のおかげで、独自に開発を行うことへの理解も得られやすくなり、お客様のご要望があればソフトウェアの受託開発にも積極的に対応するようになっています。
AIカメラ、CC-Link IE対応リモートI/O、IO-Link対応製品など提案強化
――2026年、特に力を入れている製品や分野は?
当社の製品は短工期かつスモールスタートに適しており、特に既設の小規模設備における改善や効率化に有効な製品を揃えています。
特に注力しているのが、11月にドイツのSPSで発表した当社として初のAIカメラ「TIV(Turck Intelligent Vision)」シリーズです。TIVは、IP67対応の耐環境型カメラ本体のみで画像処理を実行できるオールインワンの自己学習型のAIカメラで、複雑なプログラミングがいらず、数枚のサンプル画像を学習させるだけで良品・不良品や異なるクラスを認識できるようになります。
また、主力製品のリモートI/Oについても、これまで産業用ネットワークとしてはEtherNet/IPがメインだったため、オムロンやキーエンスのPLCユーザーがお客様の中心となっていました。それが今回、新たにCC-Link IE Field Basicに対応したことにより、三菱電機のシーケンサ「MELSEC」を利用しているお客様にも当社のソリューションを本格的に提案できるようになりました。これは当社にとって非常に大きな一歩であり、今年は多くのお客様にこの事実を知っていただきたいと考えています。
これまでMELSECユーザーのお客様には、EtherNet/IPを無理に使っていただいたり、Modbusで接続したりと、ご不便をおかけしていました。これからはより安価に当社の多彩なソリューションが使えるようになります。
――RFIDにも力を入れていくというお話もありました。
いまさらRFIDに力を入れていくのかと思われるかもしれませんが、UHF帯のRFIDは物流や搬送装置で広く使われ、競合企業も多く、競争は激しいですが、短距離通信のHF帯はFA領域でまだまだ活用範囲があります。例えば4チャンネルRFIDインターフェース「TBEC-S2-4RFID」は、1台のモジュールで32個×4チャンネルの最大128台のHFリード・ライトヘッドを接続できます。コンベア上を流れる製品を検知するために複数のヘッドを一列に並べて使うようなアプリケーションには最適で、コスト面に大きな優位性があります。安くシステム化できるのが確定しており、非常に提案しやすいのです。まずはHF帯で当社の価値をしっかりと訴求していきたいと考えています。
――その他にも注目すべき製品はありますか。
IO-Linkを活用した製品も得意分野です。例えば、積層表示灯のように光るだけでなく、PLCから文字情報を制御して文字で設備の状態を表示できる表示灯があり、音を出すことも可能です。単体で販売するには高価ですが、状態監視システムに組み込むと、「センサから出力されたデータで設備のエラーの内容や状態が文字で具体的に分かる」という付加価値が生まれ、エンドユーザーのお客様から非常に好評を得ています。センサー、データロギング、ネットワーク、そして「見える化」から「予兆保全」まで、トータルで提案できます。
TURCKというブランドを日本市場で広げる
――今後に向けて
2017年から本格的に日本での直販体制をスタートさせ、おかげさまで社員も17名まで増えました。しかし日本市場において「TURCK(ターク)」というブランドは、まだまだ知られていないのが現状です。
センサからプログラミングまで、お客様の課題解決に必要なピースをすべて持っています。それらを柔軟に組み合わせ、お客様にとって最適なソリューションを提案する「開発パートナー」でありたいと考えています。
とはいえ、現状はまだ駆け出しのチャレンジャー。だからこそお客様からいただく一つひとつのチャンスに真摯に向き合い、適切な提案とデモを現場で繰り返し実施し、ご期待に応えていきたいと思っています。
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