オートメーション新聞N0.403を発行!24年度のFA・制御機器市場まとめや主要各社の24年度決算など掲載中

主要FA・電機メーカー2025年度業績見通し FA各社、再成長へ向けて変革や刷新を加速 先行きの不透明さ拡大中 受注は回復傾向に

主なFA・電機メーカー各社の決算が出揃い、それとともに2025年度の業績予想も公開された。納期問題や大量の受注残、在庫調整などで市況はここ数年は乱高下したが、2025年度はそれも落ち着き、受注は回復傾向に戻りつつあるのは朗報だ。一方で、米国のトランプ政権による関税問題、為替や原材料価格の高騰、中国市場の低迷など、多くの懸念事項は解決の糸口が見えず、先行きは極めて不透明さを増している。そうしたなかで各社は再成長に向けて事業の変革や刷新、見直し等を推し進めており、中期経営計画の初年度というメーカーも多く、2025年度は今後に向けての大きなターニングポイントになるかもしれない。

三菱電機は、2025年度は資産効率とキャッシュ創出力を重視した経営を推進し、重点成長事業は生産体制強化やM&A等を積極的に行い、収益性・資産効率の改善が見込まれない課題事業は撤退や売却の検討を進め、8000億円程度の事業見直しを実施する計画。FAシステム事業は、リーンな経営体制による効率化をはじめ、販売・開発体制を刷新し、課題解決型組織への転換、中国での現地開発力強化、データセンタなどAI関連や半導体製造装置などの新たな成長業種の需要刈り取り強化などを行い、再成長に向けた構造改革を進める。
東芝は、2024年度に策定した「東芝再興計画」を進めており、2025年度は「中長期的な成長への仕込み」のフェーズに移行。更なる収益拡大を実現し、2026年度全社ROS10%の達成に向けた取り組みを進めていく。
ニデックは、2027年度をターゲットとする新中期経営計画(Conversion2027)を策定し、2025年度から事業再編・
拠点統廃合・人員削減などを進め、①高収益構造へ「転換」、②成長を支える「事業5本柱」へ「転換」、③真のグローバル体制へ「転換」の収益構造の抜本的転換を進める計画。売上高に依存しない収益構造とし、売上高は過去最高を達成した2024年度の水準を堅持しつつ、営業利益は二桁の営業利益率を目指す。
オムロンは、制御機器事業の立て直しを継続し、商品開発を強化して2024年から2026年までの3年間で新商品42商品をリリースし、コンポーネントビジネスを強化。ソリューションビジネスは注力領域を半導体とEV・二次電池に絞って専門組織による提案を進めている。注力地域・エリアも、中国を重要としつつ、欧米を新たな成長エリアとして設定。協業するコグニザント社とのコラボレーションや、ローカルの販売代理店網の核台、ECとの連携強化などで対応していく。
横河電機は、受注高は堅調なエネルギー需要を背景に投資意欲は活発だが、前期の大型案件の計上による反動等により売上高は減収とし、純利益は前年並みを予想している。
安川電機は、2025年度の重点実施項目として「①i3-Mechatronics活動の成果刈り取り」としてコア製品(ACサーボ「Σ-X」、インバータシリーズ等)の需要獲得の最大化、ロボット事業部の戦略製品である「MOTOMAN NEXT」の拡大、さらに八幡西事業所のモータ・ロボット一貫生産工場(第5工場)の新設、行橋事業所と入間事業所の生産強化プロジェクトを加速するほか、「②市場・地域の変化を俯瞰的に捉えた網羅的な活動による収益最大化」として半導体や自動車、欧州や中国、インド市場の動向を捉えて提供を拡大、「③パートナー連携によるメカトロニクス応用領域の事業化」、④「YDX-Ⅱ(YASKAWA digital transformation)」で業務高度化・効率化を加速させていく。
アズビルは、BAとAA両事業で成長を見込むが、前年度のアズビルテルスターの出資持分譲渡影響により減収減益の見込み。AA事業は、PA市場が引き続き堅調に推移し、FA市場で在庫の調整も進みつつあることから、期中での需要回復が見込まれ、セグメント売上高は1110億円(3.9%増)、セグメント利益は170億円(6.3%増)で増収増益予想としている。
日東工業は、各事業戦略の推進や価格改定の実施等による業績拡大により、売上高1920億円(4.0%増)、営業利益136億円(1.2%)、純利益94億円(22.3%減)を見込む。
CKDは、人手不足による自動化・省人化需要は底堅く、環境負荷低減商品の需要増加が見込まれ、半導体市場では微細化・積層化による生産プロセスの複雑化によって新たな需要が生み出されており、中国の半導体や製造装置の国産化需要が益々拡大していくとされ、ビジネス環境は悪くないと見ている。
山洋電気は、前年度はFA市場の低調の影響をもろに被ったが、2025年度は日本経済は個人消費、設備投資ともに緩やかな回復を期待している。
IDECは、受注が回復しつつあり、売上高687億円と予測。新中期計画の初年度として、新生IDECとして「顧客中心のビジネス構造への転換」、「グローバルベースでの市場変化への対応力向上」を掲げ、「HMI・安全・安心」を軸とした製品、ソリューション、サービスを展開し、安全関連事業を3年で1.5倍に、ソリューションも全体売上のなかの比率を3年後には15%以上を目指すとしている。また各主要地域で地域や顧客密着による提案を進め、米国ではIDECとAPEMの事業統合によるシナジーの発揮、現地での研究開発体制構築を進め、⽇本では⾃動⾞や建設関連顧客との関係強化、欧州や中華圏では安全ビジネス強化、インド市場は今後の大きな成⻑に向けた事業の現地化を進めていくとしている。