【FAトップインタビュー】シュナイダーエレクトリック、大阪から世界へ広がるHMIブランド「Pro-face」中核を担う主力機種「GP6000シリーズ」発売

DXやIOTの普及で「つなぐ(つなげる)」がFAのキーワードになっているが、つなぐものは機器同士、機械同士だけではない。人と機械にもつなぎが必要であり、HMI(ヒューマンマシンインターフェイス)としてその役割を担ってきたのがプログラマブル表示器だ。

シュナイダーエレクトリックのHMIブランド「Pro-face」は、元祖HMIとして大阪で生まれ、長年にわたって高いシェアを誇る世界的なトップ製品。グローバルの開発拠点は今も大阪にあり、「大阪発・世界へ」と展開している。そんなHMI事業について、先日発売した最新型「GP6000シリーズ」と現在の取り組みについて、シュナイダーエレクトリック インダストリアルオートメーション事業部 商品企画部 チームリーダーの近藤 忍 氏とロジーナ 氏、森本 氏に話を聞いた。

満を持して登場 新製品「GP6000シリーズ」

--新製品「GP6000シリーズ」について

これまで「Pro-face」ブランドのHMI、表示器は、ハイエンドの「SP」、スタンダードモデルの「GP」、ベーシックな「ST」と幅広いラインナップで展開してきました。現在「4000シリーズ」から最新の「6000シリーズ」へと世代交代を進めていて、これまでに産業用パネルコンピュータ「PS6000」、ベーシックモデル「ST6000」などを発売してきました。

今回の「GP6000シリーズ」もその流れを汲むもので、位置付けとしては、ハイエンド機種の「SP5000シリーズ」と、スタンダード機種の「GP4000」シリーズの両方をカバーする後継機種となります。大きく2つのラインを用意し、GP4000シリーズの正統進化版となる「スタンダードモデル」と、SP5000シリーズの性能を継承し、より高度なグラフィックや拡張性を備えた「アドバンスドモデル」を揃えました。

SPシリーズは今後GP6000に統合し、HMIのラインナップは、STとGP6000スタンダードとアドバンス、PSという形とし、お客様に分かりやすく、最適なパフォーマンごとに製品を選べるようになりました。

--GP6000シリーズでどう進化したのでしょうか?

スタンダードとアドバンス、いずれのモデルも性能と互換性を向上させました。特に互換性は、今回の製品化にあたって最も苦労し、かつ最も大切にしたポイントです。

GP6000は、15年以上前のGP3000シリーズやGP4000シリーズをお使いのお客様がスムーズに移行できるよう設計しました。同じパネルカット寸法で、コネクター位置もほぼ変更せず、最新モデルへスムーズに置き換えできるようになっています。

OPC UAサーバー/クライアントにも対応し、現場のデータを収集して画面に表示するとともに、ゲートウェイとして上位システムやクラウドへ橋渡しする役割としても使えます。

また、この時代でもあえてシリアルポートを残しているのも特徴です。欧州などグローバル市場からは「もうポートはイーサネットだけでいい」という声も多く、シリアルポートのない製品も増えています。しかし日本の現場では依然としてシリアル接続の装置が動いていて、その資産活用が重要なポイントになっています。そのためシリアルポートをしっかりと残し、GP6000では「古き良き互換性」を捨てずに「新しいIT/OT連携」を実現しています。

お客様の大切な資産を継承し・活かす

--スタンダードモデルとアドバンスモデルそれぞれの特徴は?

スタンダードモデルは、GP4000Tの後継機種となり、前述のように高い互換性によって最新モデルへスムーズに置き換えでき、装置性能の向上ができます。またGP4000シリーズと比べて大幅に性能を向上し、滑らかなタッチ操作でストレスなく、スムーズに操作が可能になりました。視認性も向上し、画面が見やすくなり、画面デザインもすぐに使える最新パーツを使えば効率的に画面が作ることもできます。

アドバンスモデルも、スタンダードモデルと同様に高性能化していることに加え、制御や表示に合わせてディスプレイサイズや設定を柔軟に選択することができます。ワイドモデルは10〜22型、4:3モデルは10〜15型をラインナップし、ディスプレイを持たないBOXタイプも新形態としてリリースしました。BOXタイプは、見た目はPLCのような形状で、制御盤内のDINレールに取り付けますが、中身は紛れもなくHMIで、より幅広く使えるようになりました。

拡張性、使いやすさも大幅に改良

拡張性も優れており、背面に最大5つまでの拡張ユニットを装着でき、PLCにI/Oユニットを増設するような感覚で機能追加が可能です。いまはシリアルポート、イーサネット、AUX出力といったベーシックな拡張ユニットを提供しており、今後は市場のトレンドに合わせて新しいインターフェースを順次投入していく計画です。

HMIは一度装置に採用されると10年、15年と長く使われる製品ですが、その間に世の中の規格が変わり、新しい技術が出てくることもあります。最近で言えば、通信規格におけるTSNなどがそれに該当します。通常、古い機種で最新規格に対応するには本体を買い替えなければなりませんが、アドバンスモデルは拡張ユニットを追加するだけでTSNに対応できます。初期投資を抑え、必要に応じてスケールを変更でき、「新しい武器(機能)」を手に入れるようなワクワクする進化を提供します。

--インターフェースに新たにUSB type Cが加わっています

アドバンストモデルにはUSB type C端子を搭載し、より使い勝手を高めています。USB Type-Cで外部ディスプレイを接続することで「画面データ」「タッチパネル信号」「電力」を一本のケーブルで供給して画面を表示できます。これにより本体とディスプレイ間の配線が減り、柔軟で自由度の高い設置ができます。

例えば、これまで通り制御盤にHMIの本体を取り付けながら、制御盤の外や装置の最適な場所にディスプレイを配置するといった分離設置にも対応でき、これまでは電源や信号線で何本も配線が必要でしたが、Type-Cなら1本で済み、制御盤や装置の小型化にも貢献します。

立ち上げや更新のデバッグの際も、Type-C対応の市販のディスプレイをつなげば、作業の時だけ大画面で確認するといった使い方もできて便利です。

このUSB Type-Cコネクタは産業用途として「ネジ止め」ができるタイプとなっているので、抜き差しが簡単にできつつ、ネジ締めで固定して振動で抜けないようにもでき、一時的な使用も長期運用の両方に適しています。

--梱包にもこだわりがあると聞いています

シュナイダーエレクトリックグループ全体として「サステナビリティ」は最重要課題と位置付けており、GP6000の梱包箱はプラスチックやビニール袋を極限まで排除し、ほぼ紙素材だけで構成しています。現場で大量にHMIを設置する際、ビニール袋を破いて分別して捨てるのは大変ですし、環境負荷も高い。複雑な折り込み構造で耐衝撃性を確保したダンボール設計は、実は弊社のエンジニアがこだわり抜いた成果です。そのあたりも見て欲しいポイントです。

グローバルの開発拠点は大阪に 世界中から技術が結集

--GP6000シリーズは日本主導で開発・設計なんですよね?

GP6000に限らず、シュナイダーエレクトリックグループにおけるHMI事業の「コンピテンシーセンター(中枢拠点)」は、ここ日本の大阪にあります。かつての株式会社デジタルのDNAを継承しつつ、現在は「Pro-face」と「Harmony」の2つのブランドのHMIを開発・マーケティングしています。

ハードウェア・ソフトウェアのエンジニアから、グローバルの製品戦略を練るマーケティング、さらには品質管理やセールス支援のチームまでが一つ屋根の下に集結しています。開発メンバーも日本だけでなく、中国やインド、フランス、カナダなど世界中から人材が集まり、日本と世界の市場ニーズをリアルタイムに吸い上げて製品に反映する仕組みが整っています。

業界特化やカスタムなど、こだわりにも対応

--カスタマイズなども積極的です

Pro-faceブランドとして、ラインナップを絞ろうという考えは頭になく、逆にお客様や業界、アプリケーションごと徹底的に作り込んだ専用モデルを増やしていこうと考えています。

 例えば半導体製造装置向けには「N2パージ(窒素置換)」対策を施したモデルを用意しています。クリーンルーム内の装置は内圧がかかっているため、通常のタッチパネルだと膨らんで誤作動したり、最悪の場合は破損したりします。そこに対して、内外圧を調整できる構造を標準で持たせています。

他にも、食品業界向けには、縁に埃が溜まりにくい「フラットマウント」構造や、オールステンレスモデルの提案など、カスタムビジネスにも非常に力を入れています。 カスタムは「ロゴを貼り替える」といったライトなものから、ハードウェアの機構そのものを変えるヘビーなものまで多岐にわたります。

大阪オフィスには、実機を使いながらお客様と一緒に課題解決や共同開発をするスペースを設けています。泉大津市のロジスティクスセンター兼アダプテーションセンターでは、ソフトウェアのキッティングから最終組み立てまで行い、お客様が電源を入れた瞬間から自社専用機として使える状態で出荷する体制が整っています。

Pro-faceが目指す「誰とでも仲良くつながる世界」の実現へ

--今後について

お客様が装置を作る際、1つのメーカーで統一するだけではなく、コントローラやモータなどそれぞれの領域で優れたメーカーを使いたいというニーズがあります。

当社の強みは「コネクティビティ(接続性)」です。プロフェイスはHMIの専業ブランドとして、特定のメーカーに依存しない「オープン志向」を貫いてきました。国内外の主要なコントローラーメーカーとも公式に連携しており、どのメーカーのどの機器でもつながるのが特長です。

GP6000シリーズは、これまでの製品との互換性を保ちつつ、新しい技術にも対応しています。自由に最高の組み合わせを選べる世界を支えるための最強のプラットフォームです。日本の製造業が再び盛り上がるために積極的に提案を進めていきます。

https://www.proface.com/ja/product/hmi/gp6000/top

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