分岐点

農業資材や医療機器、太陽光発電分野の展示会を取材して、最初に驚くのは来場者の数の多さである。通路は肩が触れ合うほど混雑し、訪問したブースでは説明員が応対に汗だくで取材できる状況にない。やっとつかまえても話が途切れて、肝心の聞きたい内容を引き出せずに、その場を離れる。 農業、医療、再生可能エネルギー分野は、成長産業の担い手として官民挙げて取り組み出したばかり。どのような装置や器具が使われているか、新製品の傾向を掌握するうえで展示会は貴重な情報収集の場である。マーケティング担当者や開発技術者は、自社のコア技術を使って新規市場に参入する構想を持って、進入口がどこにあるのか探っている。 もっとも十数年…


分岐点

20年ほど前、オーストラリアで個室、共有のキッチンと居間という間取りのシェアハウスに宿泊し、自由と規律のなかで生活する仲間に加わった。炊事当番の自国料理を食べながら会話を楽しみ、自分の部屋に戻る。いろいろな国の人と知り合い、日本を外から眺めることもできた。 先日、有料駐車場の傍を歩いていたとき、カーシェアリングの看板が目に入った。車も共有する時代なのだと感心したが、調べてみると、ワークシェアリング、オフィスシェアリングなどいろいろあるのに気付かされた。昔の回し読みを、未知の地域、読者へ広げたブックシェアリングというものもある。 迷走する日本で問題になっているのが開廃業率である。小売業では80年…


分岐点

タイ、ベトナムの視察を終えて帰国した本紙記者は、渡航前後で表情が一変した。訪問先々でFA関連のビジネスチャンスを肌で感じたからである。現地の日系製造業を販売対象にするだけでも制御機器企業は成功する、と確信に似た熱い言葉を吐く。 ベトナムの日系製造業は自動化よりもまだ人海戦術を採用しているのでFA市場は小さい。ただ、日本の製造業の進出が増えており、近い将来に先手を打つ必要性を感じたという。タイでは、設備投資が旺盛で生産技術者、品質管理技術者の不足が目立った。自動化・省力化の段階に来ており、生産管理ソフトウェアも普及し出した。 中国市場では、日本FA制御メーカーは顧客対象を日系企業から欧米系企業を…


分岐点

朝、カーテンを開けると窓から差し込む陽射しが眩い。この数週間で、部屋の隅まで届くようになった。光を遮ってできる黒い影は濃く、朝陽との共演がメリハリのある一日を過ごす気分にさせてくれる。景況もまた光陰を伴いながら少しずつ昇り始めた。▼ 都内ではあちこちで、シートに包まれたビルや首の長いクレーンが鉄板を銜えている。国土リニューアルの政策は土木から建築へと好況感を広げている。その光が配電制御システム業界にも当たり、受電設備や配電盤、分電盤、データセンター盤の需要を盛り上げている。高圧配電盤は2桁の伸びが続いている。▼ FA制御機器業界はまだ、雲間に入ってしまっている。リーマンショック前の8割ラインを…


混沌時代の販売情報力 黒川想介 健全な現場・企業・社会つくる

成熟社会をつくり上げた現在の日本が老成化の道を歩むのではなく、生き生きとした活気のある社会を維持していくには一人一人の心の持ち方がいわゆる前向きであることが必要だと思う。健全な精神は健全な肉体に宿るという慣用句があるように、成熟社会に生きる一人一人が前向きの心を持つことが健全な精神の発露と言える。そして前向きの心を持つには一人一人の働く場所がまずあって、やりがいを感じる健全な環境がそこにあることだろう。 成熟社会をつくり上げる前に、日本はバブル経済を体験した。バブル期は豪勢な遊び、鷹おう揚ような出費・金権体質といった悪い面が強調されているが、成長期の働いていた環境は人の青春時代を彷彿とさせた。…


分岐点

昨日、50代の機械設計、電気設計者と懇談したとき、熱上昇に苦心していると聞いた。装置の故障を防ぐため二重どころか5、6重の対策を制御回路に講じている。そのひとつとして、抵抗器にサーミスタの機能を付加できないかと、同席の抵抗器メーカーに依頼するほど問題が大きい様子。▼ 彼らは常に工夫を重ねている。その自信があるのだろう、アジア製品との競合に対しても余り不安を感じていない。日本は使い勝手や性能面で改良を続ける習性があるから、追いつかれないという。現代黒船来襲論を説く黒川想介氏も懇談で工夫する能力の重要性を訴えた。▼ 40年以上前のことを思い出した。未来工業を創業して間もない山田昭男氏は「現場を見れ…


分岐点

スーパーには地元産の野菜が並んでいる。ネギやゴボウなどは土がついたまま置いてあった。新鮮さを強調したのであろうが、その横には、水洗いされた白菜など野菜類が少人数用に区分けされパックに入っているのだから、どちらを選ぶとなるとすぐに食べられる方に手が向いてしまう。▼ 植物工場で水耕栽培されたもやしなどは、気候に変動されず価格も安定している。無菌である。だから、誰でも安心して買えるのであるが、大地の生産物には敵わないと思う。太陽エネルギーと水と大地で育ち、枯れれば土に戻る自然循環型の野菜は美味い。▼ 総務省の統計では、2010年の総人口に対する農家人口の割合は5・1%、650万人という。就業人口はさ…


混沌時代の販売情報力 黒川想介 人と融合する制御で内需創造

資源の乏しい日本は貿易を生業にしなくてはならないと、ずっと言われてきた。石油をはじめとして必要な物品を外国から買うためには外国が欲しがる物品を売って、必要な物を買うお金をつくらなければならない。個人には生計のための職業という生業があるように、国が生計を立てるための職業は貿易ということになる。しかし近年、国際流動性のだぶつきによるお金がお金を生む時代になった。また、経済産業のグローバル化の時代に入って日本の企業が海外に展開してお金を稼ぐようになった。 そうなると、日本の生計を立てる生業は物品やサービスで稼ぐ貿易収支だけでなく、海外の証券で得た収益である証券投資収益や、製造業中心に海外で得た収益で…


分岐点

政府の経済政策で数年の間は「不況」の文字が霞むような気がしている。あくまでも「気」であるが、景気も世の中の雰囲気しだいなのだから、やはり「気」になる。そう見ると、元気、陽気、快気、天気などが思い出され、ついでに嫌な不景気も浮かんできた。▼ 日本の産業は公共投資動向に歩調を合わせ、売り上げが上下するようになった。建築物に影響される配電盤はやむを得ないが、制御システムや制御機器なども設備投資を後押しする経済対策が息切れすると、国内市場が縮こまる。政府の経済対策に関心が高まるのもうなずける。ただ、政府の市場活性化策はいつまでも続くわけではない。▼ 弊紙の連載「混沌時代の販売情報力」を執筆する黒川想介…


混沌時代の販売情報力 黒川想介 “三新運動”で新需要を模索

情報の入手は早ければ早いほど価値があるもの。現在のような競争の激しい時代は先を争って、販売員は受注を得ようとする。客先はできるだけ安く購入したい。同じ客先に数社の販売員が同じ商品を見積もるケースが多々発生し競争になる。供給メーカーはどのルートで客先に供給するか決定しなければならなくなる。成熟時代では、このようなことは日常茶飯事に起こるので供給メーカーはいくつかの裁定基準をつくることになる。販売地域、客先のテリトリー制や情報を早く入手したルートで商品を流すという情報優先制を取っている供給メーカーが多い。 前者のテリトリー制は黄金時代の半導体業界のように顧客への安定供給を責務としているため、販売員…