日本の製造業における生産計画の実態 (4)

ライン能力の検証が十分に行われない原因としては、以下の背景がある。 1.時間の不足‥商品の仕様確定までに時間がかかり、装置の立ち上げに掛けられる時間も短くなっている。そのため、設計してからシミュレーションをしている時間的余裕がない。これはシミュレーションをしなくとも装置が作れてしまうことの裏返しであり、経験豊富な設計者と現場の調整・改善努力に依存してしまっていることが背景にある。 2.信頼性の低さ‥シミュレーションのベースになる数値の精度が低いため、シミュレーションの結果があまり当てにならない。精度の高い数値を集めるためには、作業者による生産性のバラつきなども考慮した数値化が必要だが、組織の分…


不連続線線に異状なし 黒川想介 (14)

ダウンサイジング、リストラクチャリング(再構築)、少子高齢化、多種少量生産、コンパクトラインなどの言葉が90年代以降、次々と世の中に現れてきた。拡大一辺倒で進んできた日本が一服して次に何を目指したらいいのかと考える時に、ふと浮かぶキーワードのようなものかもしれない。 拡大イコール量と考えれば、これらの言葉は繁栄の踊り場から少しずつ下がるのではないかというイメージを与えるようだ。そこまでのイメージを持たなくとも、繁栄が止まってしまうと感じさせるようだ。世の中のことはすべてが拡大一辺倒であるわけがない。踊り場に立つということは、それまでやってきたことが飽和したという意味である。 商品30年説や事業…


不連続線線に異状なし 黒川想介 (3)

日本の物づくりはどこに行ったのか、物づくり日本の復活、というフレーズがそこかしこに飛び交う日本の社会では、物づくりが国の威信にかかわるということであろう。 幕末に、伊予の国の職人が宇和島の殿様にペリーの黒船と同じものをつくれと言われ、西洋の指導もなく苦労の末に作ってしまったという物づくり力は、日本人に脈々と流れているものなのだろう。また80年代にはジャパンアズナンバーワンという本が世界を駆け巡り、日本人が誇りに感じたのは、優れた物づくり力を日本人は持っていると確認したからであろう。 西洋は物を生み出す力に長じているが、生み出された物を工夫に工夫を重ねて優れた物として作ってしまうのが日本である。…


不連続線線に異常なし 黒川想介(2)

人間の欲は際限なきもの、というフレーズがある。このフレーズは宗教的意味が含まれている。仏教では無欲を善とし、修行によって無欲に近づくことを推奨しているところから『欲は際限なきもの』という悪者になったのだろう。日常用語としての欲とは、人が何かを欲しがったり、何らかの行動がしたいということである。したがって人の欲は、人を行動に駆り立てるものである。 人は若い時には欲しい物や、したいことがたくさんあるが、年齢を経るにしたがって欲しいものやしたいことが減ってくる。年齢とともに欲しいものは手にしているから、欲しいものが減ってくるし、肉体的に弱ってくるから、したいことも減ってくる。 国の場合はどうだろうか…


不連続戦線に異常なし、黒川想介(1)

18世紀から19世紀初頭に生きたイギリスの哲学者ベンサムは「最大多数の最大幸福」という功利主義の思想を説いた。18世紀の中頃からイギリスで産業革命が始まったと言われている。ベンサムは産業革命で沸騰している社会に生きた人で、それまでの世界とは様変わりし、物質的に豊かになっていく半面、都市に集まる人々の貧困ぶりと格差を目の当たりにして、この思想に行き着いたのだろう。 「最大多数の最大幸福」とは、簡略して言えば幸福とは個人的快楽である。個人の総和が社会であるから、最大多数の個人が最大の快楽を享受することこそ人間の目指すものだという思想である。近代に生きたベンサムが現代の先進諸国を見たら「最大多数の最…


分岐点(2014年4月16日)

ある制御機器メーカーの経営者は、テレビを見ていて、開発に関連することでふっと気付かされることがあるという。客先をたびたび訪問し談笑するのが好きで、会社の席に座っていない。毎日、訪問先に出掛けて観察し、製品開発につなげている。いつも頭の中は開発の案件が多数詰まっており、運転中や家の出来事でも開発に関連付けてしまう。 全国の商社を指導して回っているある先生は、商社の営業社員と中小製造業を訪問したとき工場を見学した。検査部門で、検査冶具を並べてその前で幾人もの従業員が作業している光景に唖然とした。不合理な生産性の悪い検査業務に、事務所で毎日、改善対策ばかり考えていたが、あるとき工具の改良と作業方法を…


分岐点(2014年4月9日)

先日、81歳の制御機器商社の社長にお会いした。待ち合わせの場所に早めに着いたからと言いながら、メガネを外し読んでいた本を閉じた。パソコンの教科書である。会社に毎日出勤するだけでも驚きであるが、パソコン教室に通っているという。八十の手習いで覚えられないよと照れながら、インターネットを使って楽しんでいる話をこちらに向けた。 原稿書きやデータ収集以外にパソコンと向き合わないので、楽しみ方をあまり知らない記者にとって、果たして80歳を超えてから新しいことを学ぶエネルギーがあるのだろうかと会話の中で思案しつつ、大いに刺激をいただいた。他の定年退職者に聞いたら、やはり毎日2時間程度パソコンを操作している。…


混沌時代の販売情報力、黒川想介(103)

かつては漢字の社名の会社が多かった。最近では圧倒的にカタカナを社名にする会社が多くなっている。漢字で社名を表していた時代には社名を見て、何をつくっているか、だいたいの予想がついた。しかし、最近のカタカナの社名からは何をしている会社か、何をつくっている会社か想像がつかないことが多い。バブル経済がはじける前後から、社名を漢字からカタカナに変える会社が多くなった。当時の若者気質が漢字よりカタカナを好み出したせいもあって、リクルートの関係からカタカナに変えた会社が多かったようだ。 今ではこの傾向がすっかり定着し、電気・電子の業界も立石電機はオムロンに、和泉電気はアイデックに、松下電器はパナソニックに、…


分岐点(2014年3月26日)

毎年多くの新社会人を見てきたが、一様に明るい笑顔が素晴らしい。初々しさが、社会人として年輪を重ねると、それぞれ異なる顔つきになってくる。歩む路、歩幅がどうしても顔に出てくる。やがて部下を持ち、部署全体に目配りする立場になったとき、周囲から好まれるか疎んじられるかは、会話力次第である。 入社時から会話力を意識して養うことであろう。とくに、仕事をミスしたときこそ、真の会話力が試される。未経験の分野を仕事に取り込むケースが多くなるのだから、失敗の場面が増えるのは当然のことで、仕事の過程を説明する言葉がしっかりしていれば、周囲も会社も責めはしない。失敗は挑戦の裏返しなのであって、むしろ、有望社員とみら…


混沌時代の販売情報力(102)

販売員が担当している顧客には様々な業態がある。一般的に業態と言えば小売業や外食産業などの商業関係で用いられる区分のことを指している。例えば、コンビニ、スーパー、デパート、ドラッグストアなどのように顧客の欲求に合わせた商品の仕入れ、価格、立地、規模などの基準をもとにした態様のことを言う。電子・電機製品や計測・制御機器営業は一般商業とは違うが、顧客の態様を区分する必要がある。区分基準は商材を基準にするのではなく、営業側から顧客の全体を見て区分するのがよく、顧客の事業内容や顧客はどんな設備で物づくりをしているかなどを基準にして区分するのがよい。それらの基準で分類し、大くくりである大分類の概念がこの業…