日本の製造業再起動に向けて(3) 株式会社アルファTKG社長 高木俊郎

あけましておめでとうございます。本年が日本製造業にとって『本格的な製造業復活の年』となることを心より祈願し、その具体的道筋を探求していきたい。 昨年に製造業界のイノベーションとして注目された話題は、第4次産業革命『インダストリー4・0(Ⅰ4・0)』であった。専門紙や業界雑誌の記事に加え、欧州メーカの宣伝報道も積極的であり、インターネット上でも盛んに取り上げられた。経済産業省の産業構造審議会が小委員会を開きI4・0を取り上げたり、一般紙や経済誌も取材報道したことにより、業界の内外で注目されつつある話題となっている。 本年も引き続きI4・0はIoTやM2Mのテーマと併せ、製造業での重要イノベーショ…


いまさら聞けない産業用無線システム アローセブン鈴木弘光社長 (1)

最近、オフィス環境はもちろん、工場の生産現場でも無線LANをはじめとした「無線システム」が普及しはじめている。オートメーション新聞では、FA・産業系無線システムのエキスパートである、アローセブンの鈴木弘光社長(無線Dr.ヒロやん)が産業用無線システムについてわかりやすく解説した「いまさら聞けない産業用無線システム」を連載する。 工場の生産設備やラインからは、警報や稼働状態を伝える接点信号が出力されている。この設備管理者が工場内の状態を知るための大事な情報を無線化することで、多くのメリットが生まれる。 1カ所の信号を1カ所に送る「1対1伝送」のほか、複数の場所から1カ所に送る「1対N伝送」や、通…


不連続戦線に異状なし 黒川想介(13)

学校の教科書で学んだ文明とはエジプト文明、メソポタミア文明、インダス文明、黄河文明の世界四大文明である。昨今の文明論では学者によって文明を七・八・十六文明など様々に分類されているが、いずれの文明論の中にも日本文明は独立して入っている。 現在、主流になっている世界七大文明論では中華文明、インド文明、イスラム文明、東方正教(ロシア正教)文明、西欧文明、ラテンアメリカ文明、日本文明の七大文明である。 多くの文明は複数の国で文明圏をつくっているが、日本文明は一国の文明である。漢字があったり仏教や儒教があったりするので一見、韓国と同じように中華文明圏の一員のように見られてきた日本は、まったく違った文明で…


不連続線線に異状なしなし 黒川想介 (12)

販売員は、顧客や新規に会う見込客から何か情報を取ろうとして質問をする。その際の能動的質問は、何をつくっているか、どんな仕事をしているかを知ろうとするところから始める。 面会している相手は大雑把に何々をつくっている、何々を主にしている、という回答をする。後日、もう少し突っ込んで知ろうとするならいいのだが、ほとんどの販売員はその回答で相手のことを自分の経験に基づいてイメージしてしまう。 長い間担当している顧客であるなら、様々なアプローチがあって多少は顧客のことを把握しているのだろう。それでも顧客からのアプローチは販売員がやってきた実績によることが多いので、年月をかけても意外と顧客の一面しか見えてい…


日本の製造業再起動に向けて (2)

インターネット時代の今日、スマートフォン(スマホ)の普及に想像を絶する”破壊的イノベーション”を感じるのは私だけではないはずである。スマホで急成長を遂げている中国の「小米科技(シャオミ)」を知らない人は少ない。2010年創業の新興企業シャオミが、アップル、サムスンに次ぐ世界第3位のスマホメーカーに踊りでた。創業4年足らずで1兆円企業になろうとしている。品質も高く、巨大企業を震え上がらせる価格戦略。SNS戦略を徹底し、広告費を全く使わず、中国版ツイッター「微博」などの口コミ中心に、10月発売の新製品「Xiaomi Mi3」は、用意した10万台を販売開始からわずか1分26秒で完売したと伝えられてい…


不連続線線に異状なし 黒川想介 (11)

営業マンが苦労の末に売り上げという果実をもぎ取るまでには、数々のプロセスがある。見込み客の場合は、相手との関係づくりから入らなければならないからやっかいだ。相手が必要としているものにたまたま当たれば、必要な事物を介して関係づくりまでもっていける。必要と感じてもらえなければ立ち往生してしまうだろう。良好な関係づくりができている顧客であっても、部品やコンポ商品を受注するまでには手順を踏んだ情報収集が必要だ。 製造現場なら、設備投資はどこに向かうのか。製品設計なら現在構想中の開発設計商品はどんなものなのかを探り出し、最終的に営業マンが扱う部品や機器商品はどこに使われるのかを見つけるために、いろいろな…


日本の製造業における生産計画の実態 (11)

今回の取材を通じて、「日本の製造業」の現場力がまだまだ通用することを感じた。「すり合わせ」という言葉に代表される技術は、簡単には真似できないことも痛感した。半面、どんどん新しい取り組みをしていく諸外国の動きに、抜かれていくのではという危機感も、現場からの声として聞こえた。 日本から「製造現場」がなくなり、「製造技術」が廃れていくことはないと信じたいが、「インダストリー4・0」に代表されるテクノロジーは、今後20年間で400兆円もの潜在的利益を生み出すとも言われている。残念ながら日本は諸外国に遅れており、先頭を走っているとは言い難い状況にある。 3DCADが出始めた頃、多くの企業では「工数がかか…


不連続線線に異状なし 黒川想介 (10)

業務用産業用部品や機器営業が使う用語の中に、最終ユーザーという用語がよく出てくる。機器や部品を使っているメーカーは、すべてユーザーである。しかし、あえて最終ユーザーと言うのは、機器や部品を購入して製造設備・機器をつくるメーカーと、それらの製造設備・機器を使って物づくりするメーカーを意識的に分けて、前者をセットメーカー、あるいは単なるメーカーと言い、後者を最終ユーザー、あるいはエンドユーザーと言っている。 実際には、部品やコンポとしての機器を扱う営業にとっての最終ユーザーはいくつかに分けられる。(1)家電や電子機器などを使う一般消費者(2)業務用機器を使う法人(3)物づくりをしている製造の現場―…


日本の製造業における生産計画の実態 (9)

実際、以下のようにシミュレーションがあまり適さない業態というのも存在する。 (1)一度立てた計画に対する変更が全く生じない場合=人が経験に基づく計画を立てる方がよほど早いし、ソフトウェアへの投資や工数のオーバーヘッドは回収できない可能性が高い。 (2)同一ラインで同一製品しか製造していない場合=装置の稼働と生産数がほぼ比例するため、効果は薄い。 (3)ほぼ手作業で、1品1品が完全にカスタマイズ品の場合=製造自体が属人的になるためシミュレーション自体が困難。 だが、多くの日本の製造業は「少量多品種」「段取り替えが頻繁」「生産計画の変更が頻繁」といった状態にあると考えられる。従って、ほとんどの日本…


日本の製造業における生産計画の実態 (8)

前回まで、欧米では当たり前になっている「シミュレーションソフトの活用」が、日本の製造業においては進んでいない状況をレポートしたが、実際に導入・成功している事例を紹介する。 シミュレーションソフトウェアの導入事例‥ニチバン(取材協力‥構造計画研究所) 1〓導入企業の事業概要 セロテープに代表される、独自の粘着・接着技術をベースに、医療・ヘルスケア、オフィス・ホーム、産業向けなど、多種多様な製品を製造・販売。 2〓導入前に直面していた課題 A‥生産管理が工場ごとに属人化されて共有できなかった。 B‥システムの導入が現場に受け入れてもらえない。 C‥計画作業に時間がかかり、計画サイクルが長くフレキシ…