不連続戦線に異状なし 黒川想介 (18)

日本人は自らを揶揄する意味で時折、島国根生という言葉を使う。世界がまだ蒸気船や大砲を持たなかった頃、島国日本は海という防壁があったから他国からの侵略もなく、日本独得の文化が醸成し、日本文明というものを作り上げたという誇りをもっている。その誇りと裏腹に、島国根生と揶揄するのは自信がなくなっている時である。日本は島国だから島国根生的に内気な国であるわけではない。 同じ島国でも英国は島国根生という表現は似合わないであろう。英国は紀元前にローマのカエサルに侵攻された。以降、ローマ帝国は現在のイングランドをローマ帝国の属州ブリタニアとした。スコットランドとの境に長城のようなハドリアヌスの壁やアントニヌス…


前アマダ専務高木俊郎のニッポン製造業再起動! 第1回「中小製造業のグローバル新戦略 成功のヒントを探る」

日本の製造業にとって2015年は忙しくなりそうだ。今年は過去最高の受注量を抱える中小製造業も多く、”再始動のチャンス”が芽吹きつつある。春の訪れとともに、多くの方から良い知らせを聞けるのが今からとても楽しみだ。 最近は中小製造業の経営者から『海外顧客を開拓したい』と相談されることが多い。しかし、その姿はかつての海外工場進出とは趣が異なり”国内の製造能力の強化”と、海外も含めた”新規顧客獲得”を成長戦略の柱に据えている。その意味では”中小製造業のグローバル新戦略”と言って良いかもしれない。 そこで、次回からは『海外から見た日本の製造業』を通じて、中小製造業の本当の強みと課題を考えてみたい。日本の…


日本の製造業再起動に向けて 株式会社アルファTKG社長高木俊郎 (5)

人工知能が東大に合格する日が目前に迫っている。今の人工知能レベルは、偏差値47。全国の80%の私大に合格できるレベルに到達したそうである。ニューラルネットによる「新たなる進化」や「複雑なコトバを操る」人工知能開発も急速に進んでいる。この人工知能技術は、最新ロボットとして一般社会で報道され話題となっている。目、耳、口を持ち、人と共存するロボットが一般メディアで多く取り上げられるようになった。 製造業と人工知能。あまり一般社会では注目されていないが、製造業の発展にとって(人工知能は)極めて重要な技術であることに疑う余地はない。しかし、人工知能の台頭により製造業を支えてきた『熟練工=ベテラン』は不要…


不連続戦線に異状なし 黒川想介 (17)

一般消費者や法人の様々な需要に応じて供給をするために物づくりが始まる。物づくりは製品開発設計の段階を経て、工場へ回され、製品化される。一人の技術者が製品を開発し、図面を描いて、機械を使い、手づくりで製品を完成させることも昔はよくあった。複雑な社会になり、様々な需要が生まれて、一人の技術者が完成品までつくる物づくりはほとんどない。一人で設計から完成品までつくってしまうのは、試作品ぐらいなものである。製品の開発設計に限って言えば、一人の設計者で設計する製品はかなり多い。 部品や中間部分材は一製品一設計者が一般的である。複雑な製品は複数の設計者で一つの製品を設計する、電気で動く機械や機器製品では大き…


いまさら聞けない産業用無線システム アローセブン鈴木弘光社長 (2)

FA・産業系無線システムのエキスパートである、アローセブン鈴木弘光社長(無線Dr.ヒロやん)が産業用無線システムについて分かりやすく解説する連載の第2回は「無線によるパルス信号の伝送活用例」。 工場内の装置から発生するパルスは、無線を活用して収集・分析することで、生産情報の把握に役立つ。無線伝送すると便利な信号としては、工作機械の生産カウント信号、製造ラインの製品カウント信号、電力計のパルス信号、ガス・液体の流量パルス信号などが挙げられる。これらのパルスを収集し、1時間ごとや1日ごとの数値を表やグラフにすることで、機械の調子が分かったり、工程が適正かの分析ができる。つまり、工場内に存在するパル…


オートメーション市場に見る暗号動向とビジネス FAラボ代表松本重治 (下)

6.日本電子政府推奨暗号 CRYPTREC(Cryptography Research and Evaluation Committees/総務省と経済産業省が所轄)が2013年3月26日に電子政府向けの暗号リスト「日本電子政府推奨暗号」を公表した。2003年2月公表リストの改定版である。 日本電子政府推奨暗号の目的は、技術的に安全性が確認された暗号方式を示すことであるが、2003年のリストは多く選定が困難だったが今回は大幅に絞った。(図1) 前回のリストにあった共通暗号であるNECのCIPHRUNICORN-E、東芝NOHIEROCRYRPT-L1、三菱電機のMYSTY1128bitsのブロ…


不連続戦線に異状なし 黒川想介(16)

物づくりを事業として経営するには、研究、製品開発をして製品設計部が図面化して、それを製造部門が製品化し市場に商品として流通させるという工程を繰り返す。 物づくりには大きく分けて垂直統合と水平分業というやり方がある。垂直統合とは企業が商品の開発・生産・販売を主導して一手に行うことである。水平分業とは企業が製品の開発・製造・販売の各段階で外部に依頼して製品化することである。 戦後、日本が復興し高度成長に至る時期では垂直統合で物づくりが行われた。企業の下請けなどという言葉が一般的に使われていたのは、垂直統合で物づくりをしていたからである。経済規模が大きくなると企業間の競争規模も大きくなり、いわゆる人…


日本の製造業再起動に向けて (4)

1964年にIBMがメインフレーム「System/360」を発売してから半世紀が経過した。オペレーションシステムを搭載したこのマシンがキッカケでComputerが一般社会に台頭したが、当時の日本でのComputer概念は『電子計算機』であった。『電子計算機』は今日でも法律的に通用するComputerの和訳である。中国語社会では、これを『電脳機』と訳した。はるか昔にComputerを『電脳』とイメージした中国人の先見性はさすがである。電子計算機という単語のイメージでは、インテリジェント工場やスマート工場を理解することは難しい。 『Computer=電脳』のイメージを持ってインダストリー4・0(I…


不連続戦線に異状なし 黒川想介 (15)

産業機器のルネサンスという内容で、産機ルネサンスという標語が業界の片隅でささやかれたのは80年代の後半の頃だった。そもそものルネサンスとは、学校の教科書に文芸復興と書き記してある。ルネサンスは14、15世紀のイタリアを中心に起こった活動で建築、美術、文学、科学、技術に至るあらゆる分野の文化活動を言う。西洋史では、西ローマ帝国が滅んで世俗の王以上の権力を駆使したローマ法皇の時代を中世と位置づけている。「宗教は絶対」という基準で人の生活を律してきたキリスト教支配は、人間性の暗黒の時代と言われている。その宗教からの解放を人間解放、文芸の復興という形式をとったので、再生という意味のルネサンスと表現した…


不連続線線に異状なし 黒川想介(14)

2020年に東京オリンピックが開催されることが決まっている。前回開催された東京オリンピックは50年以上前の1964年であった。日本経済は高度成長の真っただ中にあった。現在の新興国と同じく騒然とした活気があり、日本の物づくり産業も軌道に乗りつつあった。 それでも国際流動性は現在に比べれば圧倒的に少なかったから、世界から日本への資本の移動も少なかった。そのため日本が独自で外貨を稼いで、物づくりの原料を海外から購入しなくてはならなかった。 したがって大規模に原料を買って大規模に物づくりをするまでには至らず、現在のグローバル経済で新興国が世界中から資本を集め一気に大規模工場で操業している様相にはほど遠…