日本の製造業再起動に向けて (2)

インターネット時代の今日、スマートフォン(スマホ)の普及に想像を絶する”破壊的イノベーション”を感じるのは私だけではないはずである。スマホで急成長を遂げている中国の「小米科技(シャオミ)」を知らない人は少ない。2010年創業の新興企業シャオミが、アップル、サムスンに次ぐ世界第3位のスマホメーカーに踊りでた。創業4年足らずで1兆円企業になろうとしている。品質も高く、巨大企業を震え上がらせる価格戦略。SNS戦略を徹底し、広告費を全く使わず、中国版ツイッター「微博」などの口コミ中心に、10月発売の新製品「Xiaomi Mi3」は、用意した10万台を販売開始からわずか1分26秒で完売したと伝えられてい…


不連続線線に異状なし 黒川想介 (11)

営業マンが苦労の末に売り上げという果実をもぎ取るまでには、数々のプロセスがある。見込み客の場合は、相手との関係づくりから入らなければならないからやっかいだ。相手が必要としているものにたまたま当たれば、必要な事物を介して関係づくりまでもっていける。必要と感じてもらえなければ立ち往生してしまうだろう。良好な関係づくりができている顧客であっても、部品やコンポ商品を受注するまでには手順を踏んだ情報収集が必要だ。 製造現場なら、設備投資はどこに向かうのか。製品設計なら現在構想中の開発設計商品はどんなものなのかを探り出し、最終的に営業マンが扱う部品や機器商品はどこに使われるのかを見つけるために、いろいろな…


日本の製造業における生産計画の実態 (11)

今回の取材を通じて、「日本の製造業」の現場力がまだまだ通用することを感じた。「すり合わせ」という言葉に代表される技術は、簡単には真似できないことも痛感した。半面、どんどん新しい取り組みをしていく諸外国の動きに、抜かれていくのではという危機感も、現場からの声として聞こえた。 日本から「製造現場」がなくなり、「製造技術」が廃れていくことはないと信じたいが、「インダストリー4・0」に代表されるテクノロジーは、今後20年間で400兆円もの潜在的利益を生み出すとも言われている。残念ながら日本は諸外国に遅れており、先頭を走っているとは言い難い状況にある。 3DCADが出始めた頃、多くの企業では「工数がかか…


不連続線線に異状なし 黒川想介 (10)

業務用産業用部品や機器営業が使う用語の中に、最終ユーザーという用語がよく出てくる。機器や部品を使っているメーカーは、すべてユーザーである。しかし、あえて最終ユーザーと言うのは、機器や部品を購入して製造設備・機器をつくるメーカーと、それらの製造設備・機器を使って物づくりするメーカーを意識的に分けて、前者をセットメーカー、あるいは単なるメーカーと言い、後者を最終ユーザー、あるいはエンドユーザーと言っている。 実際には、部品やコンポとしての機器を扱う営業にとっての最終ユーザーはいくつかに分けられる。(1)家電や電子機器などを使う一般消費者(2)業務用機器を使う法人(3)物づくりをしている製造の現場―…


日本の製造業における生産計画の実態 (9)

実際、以下のようにシミュレーションがあまり適さない業態というのも存在する。 (1)一度立てた計画に対する変更が全く生じない場合=人が経験に基づく計画を立てる方がよほど早いし、ソフトウェアへの投資や工数のオーバーヘッドは回収できない可能性が高い。 (2)同一ラインで同一製品しか製造していない場合=装置の稼働と生産数がほぼ比例するため、効果は薄い。 (3)ほぼ手作業で、1品1品が完全にカスタマイズ品の場合=製造自体が属人的になるためシミュレーション自体が困難。 だが、多くの日本の製造業は「少量多品種」「段取り替えが頻繁」「生産計画の変更が頻繁」といった状態にあると考えられる。従って、ほとんどの日本…


日本の製造業における生産計画の実態 (8)

前回まで、欧米では当たり前になっている「シミュレーションソフトの活用」が、日本の製造業においては進んでいない状況をレポートしたが、実際に導入・成功している事例を紹介する。 シミュレーションソフトウェアの導入事例‥ニチバン(取材協力‥構造計画研究所) 1〓導入企業の事業概要 セロテープに代表される、独自の粘着・接着技術をベースに、医療・ヘルスケア、オフィス・ホーム、産業向けなど、多種多様な製品を製造・販売。 2〓導入前に直面していた課題 A‥生産管理が工場ごとに属人化されて共有できなかった。 B‥システムの導入が現場に受け入れてもらえない。 C‥計画作業に時間がかかり、計画サイクルが長くフレキシ…


日本の製造業再起動に向けて (1)

“去る10月21~25日まで、ドイツのハノーバーで第23回国際板金加工見本市「EuroBLECH(ユーロブレッヒ)」が開催され た。 この見本市は、板金加工業界対象の世界最大級の見本市であり、今年も大盛況で閉幕した。入場者数は6万人を超え、今年はドイツ国外からの来場者がかなり増加した模様である。 今、欧州での最大トレンドは「Industry 4・0」であり、今年のEuroBLECHは、欧州メーカーのIndustry4・0にかける熱意と具体的な実現を十分に感じた見本市であった。特に欧州の主力機械メーカーのブースでは、機械の展示のみならずソフトウェアを駆使し”大画面を使ったプロセス改善…


日本の製造業における生産計画の実態 (9)

現状多くの日本企業では、経験豊富な技術者の手で生産計画が立案できている。ただし特定の企業を除くと、特定の技術者に依存した体制になっており、他の技術者では代替できない状態と言える。そのため、突発的な変更が起こった時には、どの程度計画を変更すればいいのか、実態を踏まえて計画を修正することが非常に困難である。 また、現在の市場環境では、「生産装置トラブルによる歩留まり悪化」「仕入先からの納品遅延による欠品」「短納期受注による特急対応の割り込み」「仕様変更によるロス発生」など、突発的な変更が起こる要因は枚挙に暇がない。これらを根絶して計画がずれないようにすることは難しい。よって変更が発生することを予期…


日本の製造業における生産計画の実態 (6)

日本の製造業における生産活動では、各社が様々な課題を抱えている。概して言えば、生産計画が立てられない、生産計画通りの生産ができない、それゆえに、部分最適による非効率が多々存在している。 結果として、作業遅延を賄うために残業の人件費が上昇したり、欠品を防ぐための過剰在庫が資金効率を悪化させたり、ライン完成後に追加費用を投じて改修を行ったり、といったインパクトをもたらしている。それゆえ、全体最適化を目指すべし、と20年以上前から言われ続けているのだが、各企業が取り組みを行ってはいるものの、効果が出ているのはごく一部にすぎない。現場の声として以下の現状が浮き彫りになった。 1〓市場からは多品種小ロッ…


不連続線線に異状なし 黒川想介 (8)

鳥が空を飛び、魚が水中を泳ぐことを生業としているように、人は物をつくることを生業としている。鳥や魚は自然界の流れのままに生活をするが、人は物づくりが生業であるから、自然界に抗って生活をする。だから人が構成する世の中の変化は速い。一日一日と変化しているが、変化の渦中にいると変化を感じない。時の経過を振り返って見ると、世の中が変わっていることに気づく。 技術の発達は時代の変化を加速させる。工業化技術に情報化技術が加わった90年代後半から世の中の変化が速く感じられるようになった。世界有数の経済大国になってから、部品やコンポ機器営業はいつも顧客から追いかけられるような忙しさの渦中で過ごしてきている。そ…