デジタル化の次のビジネスを妄想する

4月にドイツで行われたハノーバーメッセ。先日、日本から参加した人に印象を尋ねたところ、「会場とその雰囲気は別として、展示内容は目新しいものはなく、案外つまらなかった」という感想だった。 私自身も今回は新鮮さに欠けたという印象を抱いており、同じように感じた人がいたことに少しだけホッとした。 とは言え、ハノーバーメッセは世界最大級の産業見本市であり、面白くなかったというのはあり得ない。私もずっと違和感を抱いていたが、ようやく答えに行き着いた。   ハノーバーメッセでドイツがインダストリー4.0を全面に打ち出してきたのが2013年ころ。当時、日本でもIoTという言葉が使われはじめたが、今ほ…


本当のスマートファクトリー

先日、ダボス会議を主催する世界経済会議が選定した世界の最先端工場「Lighthouse」のひとつである、シュナイダーエレクトリックのフランス・Le Vaudreuil(ル・ヴォードライユ)工場を見学することができた。 パリから車で約1時間超のところにある工場で、電磁接触器の製造やインバータのカスタマイズなどを行っている“スマートファクトリー”だ。   1975年稼働開始の歴史ある工場で、生産設備や建物設備は最新とは言えない。しかし製造装置にはセンサが取り付けられ、工程ごとにエッジコンピュータで情報を管理。構内には特別なセキュリティを施したミニデータセンターがあり、現場にはデジタルダッ…


デジタル時代のソフトウエア信頼性の証明

製品の価値のあり方が、かつてはハードウエア一辺倒からソフトウエアに傾き、そして今、ハードウエアとソフトウエアの両方が大事であると言われるようになった。極端な振れ方から、ちょうど良いところに落ち着いた感じだ。 でも気になることが一つある。ハードウエア部品はBOM(部品表)があり、その仕入れ先や製造者をさかのぼることができる。製品に含まれる成分なども材料レベルまで分析され、明文化されている。そうした管理によって品質が担保でき、安心安全性を高めている。万が一何かトラブルがあっても対処できる。 その点、ソフトウエアはどうだろうか?   かつてのソフトウエアは、技術者が自らゴリゴリとプログラム…


積み上げたものを活かす

先日、プリント基板の設計製造、実装を事業とするキョウデン(長野県箕輪町)にお邪魔した。訪問の事前準備として同社について調べていたら、とてもユニークな歴史を持つ会社であることが分かった。   事業のスタートは1983年、地域の家電販売店から。機械や工具系の販売店や電気工事業からメーカーになるケースはよく聞くが、家電販売店から始まってメーカーになって今も活躍しているという例は非常に珍しい。これだけで興味を引かれるが、その後の歩みもユニークだ。 パソコンメーカーのソーテック、パソコンショップのフリーウェイ、家電量販店のナカヌキヤなどの子会社化(現在は売却済み)や、スーパーマーケットの長崎屋…


いま日本の製造業に必要なこと

いま日本の製造業に必要なことは何だろう? 個人的には、業界に携わるすべての人がひとつの認識を共有することだと思っている。製造業の企業を経営する社長、そこで働く社員、その上司である管理職をはじめ、経済産業省や◯◯市産業振興課のような製造業を管轄する行政も含めて、目指すべきところを共通認識で持ち、それを元に各人の活動に落とし込む。 これができれば製造業界の風通しが良くなり、もっと多くのアイデアが生まれ、活性化できるのではないかと思ったりする。   「製造業を元気にしたい」「製造業を愛しています」そんなことを口に出して発信していると、同じ意志を持った人に出会う。 17日、パワードウェアとい…


製造業もインバウンドを利用する

2018年、日本を訪れた外国人客がはじめて3000万人を突破した。08年は835万人強だったので、10年間で約3.5倍以上も増加したことになる。 政府の目標は東京オリンピック効果が期待できる20年に4000万人、30年には6000万人にしたいとしている。今年は3月までに805万人超が来日し、昨年同期を5.7%上回っている。 このまま何もなく進んでも3200万人超で過去最高を更新するが、9月にはラグビーワールドカップがあり、さらなる上積みが期待できる。   世界観光機関の17年の調査によると、海外旅行者の受入数が最も多いのがフランスで8691万人。2位がスペインの8178万人、3位がア…


垂直統合が活きる時代

デジタル化が急激に進み、社会が一斉にそちらに向いた反動からか、近ごろはデジタルに対してのアナログ、バーチャルなどリアルを重視する意見や活動がポツポツと目立つようになってきた。 いわゆるカウンターや逆張りであり、逆にそれらが彼らの強みや特長、差別化ポイントとなり、評価が高まっている。   これまで製造業では効率や合理性を最重要視し、非効率だとされたものは中止、または排除されてきた。 例えば、垂直統合型のものづくり。かつて日本では、製品に必要な部品の製造や社内の生産設備の構築や保守を社内で行っていたが、景気悪化や事業環境の変化にともなって多くの企業が外部調達や外注化などいわゆる分業型にシ…


日応中展示会の違い

3月4月と日中欧の展示会に連続して行く機会に恵まれた。 まず中国。広州の自動化専門展のSIAF。ブースの標準的な構成は、実機展示と商談テーブルのみ。スタッフはスマホばかりいじっているが、いざブースに足を踏み入れると積極的に提案に来る。 あとで聞くと、スマホをいじっているのは遊びではなく、中国版LINEのWeChatでお客とコミュニケーションを取っているのだそうだ。   次いでヨーロッパ。ドイツのハノーバーメッセ 。ブース構成は中国と同じだが、デザインや見せ方は洗練されている。商談スペースは広く整っていて、大規模のブースだと軽食や飲み物を提供するカフェを完備している。お客が来ると、座っ…


フランクな現場交流の大切さ

ハノーバーメッセに日本から「ツアー」で行ってきた。ツアー参加者は全員日本人。メーカー、商社、ユーザー、設計技術者、製品企画、営業など、さまざまな企業から職種も違う人々が10数人集まった。 各社一人での参加がほとんどだったので、お互いが自然と交流し、色々な意見が聞けて参考になった。   特定の企業の動向を探りにきた人、大まかなテーマを決めてその世界動向を調べにきた人、日本と海外の違いを感じることを第一義としてきた人など、それぞれの目的はバラバラ。 具体的には、機器の省配線化のヒントが欲しいと言ってケーブルや機器メーカーに絞って巡る人、OPC UAやIO-Linkなど産業ネットワークの動…


日本の製造業は現実を受け入れなければいけない

日本は極東の島国だ。四方を海に囲まれ、歴史的には文化の伝来は大陸に比べて遅かった。古代の稲作にはじまり、文字や仏教など、多くの技術が中国からわたってきた。 中世には南蛮貿易によってヨーロッパの文化がアフリカ、インド、東南アジアを経て日本に入ってきた。江戸時代末期には北から南から欧米列強の文化と技術がもたらされた。戦後は主にアメリカの文化が伝わった。 インターネットもない昔は技術や情報の伝達は物理的な手段しかなく、日本に伝わるのはいつも最後。その不利があった。   それでも日本はいままで外国の支配下に入って主権を失ったことはなく、ずっと独立を保っている稀有な国である。陸続きではない、列…