最適な生産の仕組みづくり

ITや情報産業、エンタテインメントなどで世界に強い影響力を持つアメリカ。12億人という巨大市場、「世界の工場」と急成長を遂げた技術力を持つ中国。 インダストリー4.0の発祥の地であり、自動車や産業機械の世界的企業とそれを支える中小企業が多数存在し、世界の産業領域のドイツ。 自国の強みが明らかな各国に対し、日本の強みとは何だろう。現場力だという人もいるが、一人あたりの生産性で下位に沈む状態では説得力に欠ける。   自動車や家電製品、半導体など、かつて日本の製造業は世界を席巻した。製品だけでなく、それを高品質で量産するための仕組みを構築し、日本の産業機械とそれらを構成する部品、素材メーカ…


機械受注の底は近い

2019年は製造業各社にとっては厳しい状況が続く。人手不足や自動化に対する関心は高いものの、工作機械や半導体製造装置、産業用ロボット等の市況がなかなか回復してこない。 人に会って景気を尋ねるたび「今年は厳しいね」との回答ばかり。そんなあいさつが定番化してきているのが怖かったりもする。 実際のところ、回復はどのあたりになるのだろうか。   いくつかのヒントがある。三井住友DSアセットマネジメントがまとめたマーケットレポート「『工作機械受注』はいまが底か?」では「底は近い」と結論づけている。 いわく、6月の工作機械の受注金額が下限と見られていた1000億円を割り込んだこと、過去の受注調整…


今こそ言葉の再定義を

「2番行ってきます」「シルバー補充しといて」「兄貴から使って」。レストラン等でアルバイトをしたことがある人ならすぐピンと来る言葉。これらは飲食業界内で有名な業界用語、いわゆる隠語だ。 2番はトイレ、シルバーはナイフやフォークなどのカトラリー、兄貴は古い食材のことを指す。高校生で初めてアルバイトをした時、これらの意味不明な言葉が店内を飛び交い、慣れるまで困惑したのはいい思い出だ。   製造業にも業界内用語、隠語はたくさんあるが、厄介なのが、他の業界だと別の意味になる言葉だ。 例えば「KY(ケーワイ)」。製造業では、危険(K)を予知(Y)して回避することを指し、現場の安全衛生を守る言葉と…


不景気の今こそ次のステップへの準備を

人はジャンプする時、膝を曲げ、腰をかがめて下に向けて力をためる。そしてそこから膝を伸ばし、体を反らして、上に向けて一気に力を解放して跳び上がる。 高く跳ぶ動物の代表例でもあるカエルやバッタ、ノミなども太くて強靭な足を折り畳んでバネのようにして何倍もの高さまで跳び上がる。 当たり前の話だが、膝を伸ばしたまま、上半身を立てたままでは高く跳ぶことはできない。   スポーツに詳しい人に言わせると、高く跳ぶためには筋肉を鍛えるだけではダメだそうだ。体を柔らかくして可動域を広げることと、パンっと一瞬で全身を動かす瞬発力が必要だという。 体操選手を見れば分かる通り、彼らは筋肉の塊でありながら、体は…


海外ローカル企業攻略のススメ

日本の製造業の収益性を上げるには、縮小傾向にある国内市場より、成長路線にある海外市場を積極的に攻めていくことが必須である。 しかしその道はいまだ道半ばで、海外市場で成功を収めている企業は決して多くない。 製品の性能や機能、品質は良い、サービスも悪くない。価格帯も決して高単価になっている訳でもないのに、なかなか広がっていかない。何が悪いのだろうか?   先日、「海外事業のやり方を変えた」という企業トップに話を聞いた。現地法人を設けてもう何年もたった拠点には日本人は送らない。現地の社員が主導的立場に立ち、日本人は現地のサポートに回る体制に変えたのだそうだ。 その狙いは、ローカライズとロー…


2020年 新しいロボット展示会に期待大

来年2020年7月2日にロボット関連の新しい展示会が誕生する。それが「ロボットテクノロジージャパン」(主催:ニュースダイジェスト社)だ。 会場は中部国際空港・セントレアに隣接し、今年8月にオープンする愛知県国際展示場。日本の製造業の中心地で、新設の会場で新規のロボット展示会、すべてが新しいもの尽くし。 しかも多くのロボットが動く具体的なデモ展示が目玉になるというから、今から開催が楽しみで仕方ない。   同展は、「産業用ロボット・自動化システムの専門展」をコンセプトとし、サービスロボットやドローンなどは対象外。製造業や物流の現場の課題解決に特化し、来場者も愛知県を中心とする中部地方の製…


足し算と引き算を使いこなす

2012年に出版された「MAKERS(メイカーズ)」(クリス・アンダーソン著)から始まった3Dプリンタブーム。当時は「何でも作れる夢のような機械」と喧伝され、もてはやされた。 それから7年がたち、いまは3Dプリンタが話題となることは少なくなった。 ブームが一段落する一方で、産業界ではジワジワと導入が進み、活用例も出てきているようだ。   先日、在日ドイツ商工会議所主催の積層造形や3Dプリンティングに関するセミナーに参加した。日独両国から主要な3Dプリンターメーカーや素材メーカーが講演者となり、最新の技術動向や実際の活用事例を紹介してくれた。 日本のある大手自動車メーカーがシリンダーブ…


デジタル化の次のビジネスを妄想する

4月にドイツで行われたハノーバーメッセ。先日、日本から参加した人に印象を尋ねたところ、「会場とその雰囲気は別として、展示内容は目新しいものはなく、案外つまらなかった」という感想だった。 私自身も今回は新鮮さに欠けたという印象を抱いており、同じように感じた人がいたことに少しだけホッとした。 とは言え、ハノーバーメッセは世界最大級の産業見本市であり、面白くなかったというのはあり得ない。私もずっと違和感を抱いていたが、ようやく答えに行き着いた。   ハノーバーメッセでドイツがインダストリー4.0を全面に打ち出してきたのが2013年ころ。当時、日本でもIoTという言葉が使われはじめたが、今ほ…


本当のスマートファクトリー

先日、ダボス会議を主催する世界経済会議が選定した世界の最先端工場「Lighthouse」のひとつである、シュナイダーエレクトリックのフランス・Le Vaudreuil(ル・ヴォードライユ)工場を見学することができた。 パリから車で約1時間超のところにある工場で、電磁接触器の製造やインバータのカスタマイズなどを行っている“スマートファクトリー”だ。   1975年稼働開始の歴史ある工場で、生産設備や建物設備は最新とは言えない。しかし製造装置にはセンサが取り付けられ、工程ごとにエッジコンピュータで情報を管理。構内には特別なセキュリティを施したミニデータセンターがあり、現場にはデジタルダッ…


デジタル時代のソフトウエア信頼性の証明

製品の価値のあり方が、かつてはハードウエア一辺倒からソフトウエアに傾き、そして今、ハードウエアとソフトウエアの両方が大事であると言われるようになった。極端な振れ方から、ちょうど良いところに落ち着いた感じだ。 でも気になることが一つある。ハードウエア部品はBOM(部品表)があり、その仕入れ先や製造者をさかのぼることができる。製品に含まれる成分なども材料レベルまで分析され、明文化されている。そうした管理によって品質が担保でき、安心安全性を高めている。万が一何かトラブルがあっても対処できる。 その点、ソフトウエアはどうだろうか?   かつてのソフトウエアは、技術者が自らゴリゴリとプログラム…