日本ワイドミュラーの新戦略 リレー、I/O、電源… 製品増強し拡販本腰 端子台メーカーから総合FAメーカーへ脱皮

ワイドミュラーは、日本ではプッシュイン式端子台や太陽光発電システム向けの接続箱メーカーとしてのイメージが強いが、製品ラインアップとしてはPLCや電源、ネットワーク機器などもそろえ、グローバルではFA・制御機器の総合メーカーとしての地位を確立している。2019年から日本国内でのプッシュイン式端子台の販売はIDECが営業パートナーとなり、日本法人である日本ワイドミュラーはヨーロッパやアジアで実績のあるFA・制御機器の拡販に注力し、新たな事業展開をスタートしている。

日本では基板コネクタ・キャビネット機器・オートメーション機器の3事業を展開

現在、同社の事業は大別して3つあり、対基板コネクタなど接続機器を中心とするコネクタ事業、制御盤向けキャビネット事業、FA・制御機器などのオートメーションプロダクト事業。日本ではコネクタ事業とキャビネット事業はすでに多くの顧客と販路を開拓済みであり、現在、本腰を入れて注力しているのがオートメーションプロダクトの分野だ。
これまでなかなか入り込めなかった分野だが、IoTやDX、カーボンニュートラルといった時代の変革期であり、日本製品の海外展開の拡大、さらには制御機器の供給不足と納期問題などを背景に、製品力とヨーロッパ、アジアでのシェアを生かし、国内での営業活動を強化している。

競争力のあるリモートI/O、電源、リレーから日本市場で注力

いま注力している製品のひとつが、リモートI/Oモジュール「u-remote」。アナログ/デジタル、入力/出力、給電、通信、電力測定、SIL3対応など各種モジュールをそろえ、各モジュールは幅11.5ミリメートルの薄型のスリム設計で制御盤の小型化を実現。世の中の主要フィールドバスだけでなく三菱最新のCC-LinkIE TSNにも接続可能。各モジュールはメンテナンスまで考慮した機構となっており、工具不要でスピーディーに作業でき、機械の稼働開始までのタクトタイムを短縮できる。統合WEBサーバーを介した診断機能と、稼働状況のLED表示も各センサー接続部横に配置されているので、迅速なトラブルシューティングを実現する。

2つ目がスイッチング電源。ハイエンド電源「PRO topシリーズ」は、耐環境性に優れ、自動車、飲食料品、機械、風力発電等の幅広い現場で採用されている。DCL技術を採用し、サーキットブレーカーやモータ起動時の追加エネルギーに最適。また通信機能が搭載されているのでIoTやDXの要求としてリアルタイムにいろいろな電源診断ができることから、引き合いが増えている。

同時に、ローエンド電源「PRO PMシリーズ」は、日本の主要電源メーカーの相当品で、低価格で置き換えに最適。制御盤のコストダウンや、供給不足・納期遅れに対する解決策として、国内市場でも広がり始めているとしている。

日本メーカー機種とのコンパチ品が絶好調のリレー

3つ目はリレー。いま日本市場でリレーの納期遅延が大きな問題になっており、同社は日本メーカーの主力機種と互換性がある、いわゆるコンパチ品を提供している。中国を含めたアジア市場でワイドミュラーはリレーでは高いシェアを持ち、トップ3メーカーの一つ。そのため現在もリレーの在庫を豊富に持ち、アジアから日本へ供給も可能となっている。

納期問題が追い風に新しいワイドミュラーとして好発進

さらに、日本法人は組織強化にも着手。オートメーション市場に長く経験を持つオートメーションセールス統括本部加藤裕之本部長を迎え入れる。「日本でリレーが入手できない、納期に困っているお客さまは多く、当社のコンパチ品がとても喜ばれており、問い合わせも急増している。納期問題はわれわれにはむしろ好機であり、まだまだ知られていない日本市場に即効性のあるSafety強制ガイドリレーや高負荷電力制御リレー、さらに、プッシュイン式リレーなどにも着手していく。日本市場では『リレーのワイドミュラー』としてのイメージの定着を目指したい」とし、今後について「当社には他社にはない、優れた製品、面白い製品をたくさん持っているが、これまで日本のお客さまに十分な提案ができていなかった。販売店網の強化にも着手し、新たなワイドミュラーを見せていく」としている。

https://www.weidmuller.co.jp/ja/index.jsp

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