ローカル5Gの導入によって促進されるスマートファクトリー④未来の工場「スマートファクトリー」の姿【ミライト】

製造業の現場で、高速・大容量、低遅延の通信環境と、SIM認証による高度なセキュリティ環境を提供するローカル5Gのワイヤレスネットワーク。工場に導入すれば、機械同士が情報をやり取りすることで「製造工程の効率化」が図られ、「作業環境の変化」によって人間の働き方も変えていく。ローカル5Gの導入によって、より具体化してきた未来の工場「スマートファクトリー」の姿を想像してみよう。(著:株式会社ミライト)

第1回 ローカル5Gの導入によって促進されるスマートファクトリー

第2回 製造工場におけるローカル5Gの導入効果「製造工程の効率化編」

第3回 製造工場におけるローカル5Gの導入効果「作業環境の変化編」

https://www.mrt.mirait.co.jp/

 第3次産業革命という製造業のオートメーション化の流れにのり、20世紀後半からモノづくりの現場における役割が増してきた産業用ロボット。しかし、スマートファクトリーが実現しようとしているモノづくりの世界では、ロボットの役割とおなじくらい、人間が担う役割の重要性が高まっている。そこには、消費者ニーズの多様化や需要の不透明化などを背景にした、多品種少量生産や多品種大量生産など「変種変量生産」への対応という背景がある。変種変量生産を迫られている工場では、組み立てが必要な製品に合わせてロボットを変更するよりも、人手で生産してしまった方が早いといった状況も生まれているようだ。

 そういった中で、スマートファクトリーの構築を目指す工場においてローカル5Gを導入することで、どのような活用が考えられるのか。

ロボットと人間がチームを組んで行う組み立て作業

 スマートファクトリーを見回してみると、従来のように人間から隔離された場所で危険な作業を行う産業用ロボットの他に、人間と同じラインで働くロボットの姿が多く見られるだろう。あるエリアでは、複数の人型ロボットと1人の作業者が、1つの組み立てラインを形成している。そこでは、複数の人型ロボットがチームを組んで一連の流れ作業を担当しており、1つの工程をロボット1台が数分で受け持って製品の一部を組み上げ、次の作業を担当する隣のロボットに仕掛かり品を渡す。そうやって、4、5台のロボットで80%まで組み上げた半完成品は、最後の工程だけを残して人間の作業者に渡される。人間の作業者は、最後の工程で最終作業を行うとともに、製品の組み上がり具合をチェックする。

 製品の組み立て工程は、できるだけ短時間でより多くの作業を単純に繰り返す必要がある。そうした作業はロボットに任せておく。そして、製品の種類や作業の複雑さに応じて適宜組み合わせていけばよい。単純な作業で、ロボットが4、5台も必要がなければ、2台に減らせば良い。まさに、製造する製品に合わせてフレキシブルに作業体制が組める。従来のように有線通信でロボットが繋がれていたら、そうしたフレキシブルな作業体制への対応は難しいだろう。そこには、工場内レイアウトの変更を容易にする有線では困難な、無線通信のローカル5G導入が必須だ。

スマートファクトリーにおけるローカル5Gの活用ポイント①
・ロボット同士がチームを組んで作業をこなす
・フレキシブルな生産体制が構築できる

●自律移動型AGVが適切に判断して製品を運搬

 ロボットとの協働作業で組み立てられた製品は、自由に工場内を移動できる自律移動型のAGVに載せられる。その際、作業者は無造作にAGVに置いていけばよい。製品を載せられたAGVは、それがどういう製品なのかを自らカメラで判断し、製品ごとにあらかじめ決められていた場所に運搬する。例えば、そこまでの工程で完成品と定義されている製品ならば、出荷のための箱詰めの作業のラインに運んでいく。そこまでの工程からさらに塗装が必要な製品ならば、塗装作業のラインに運んでいく。

 ここで注目すべきは、工場内で移動するAGVには、個々に1つのラインでの運搬作業を教え込ませるのではなく、製品に応じてどこからどこに運べばよいのかを自分で判断できるようにしておくことだ。それによって、運搬作業を終えたAGVは適宜手が足らないラインに移動し、受け取った製品に合わせて運搬作業を担当することができる。そうすれば、作業が単純化され、製品チェックなど人間にしかできない作業に専念できる。

 さらに、このような機能を持つAGVを多数導入すれば、従来工場の中で組み立て中の製品や部品を運んでいたベルトコンベヤーも必要がなくなる。それによって、スペースを自由に活用してニーズに応じた製品の製造プロセスを短時間で構成できるだろう。多機能なAGVを多数同時接続してコントロールするには、建屋内の隅々までワイヤレスインフラを行き渡らせるローカル5Gが必要になる。ミライトの「ローカル5Gオールインワンパッケージ」であれば、反射板等、エリア改善ツールなどを活用し、効率的かつ経済的に、必要な場所をエリア化する5G無線ネットワークを構築することができる。

スマートファクトリーにおけるローカル5Gの活用ポイント②
・AGVが自律移動して必要なものを必要な場所に運ぶ
・ベルトコンベヤーが必要なくなり工場のレイアウトが自由に変更できる

●AIが人間の作業をリアルタイムに指導

 AGVが運んできた完成品を箱詰めする作業においても、多品種少量生産もしくは多品種大量生産を行う工場では、製品の種類に応じて複数の作業手順が発生する。人手で行う箱詰め作業の場合、製品に応じて担当者を決めておけば混乱はないかも知れないが、誰もがどの製品の箱詰め作業にも対応できた方が効率的だ。そこはAIの力を借りよう。

 箱詰めのラインに設置された4Kや8Kカメラからの映像をAIが分析し、製品ごとの箱詰め作業が間違っていたり、必要な付属品を入れ忘れた際は、アラートが上がってリアルタイムに作業者に知らせる。こうした仕組みを活用してAIが作業を指示するシステムは、製品の組み立て作業などにも活用できる。人間が行う組み立て作業を、高精細カメラでミリ単位の精度でAIが判定できれば、新人作業員にベテラン作業員が行う手順を指導できるだろう。また、ローカル5Gと、ミライトがパートナー企業と協業した「8K映像伝送&画像切出しソリューション」を組み合わせれば、将来的には超高精細カメラで撮影した映像をエッジサーバ(MEC)に伝送し、AIで解析、人間の目では視認できないような微細な傷などを検査することも可能だ。このように、AIがリアルタイムに高精細画像を分析して、アラートを出したり、良品判定を行うためには、高速、大容量、超低遅延の通信が欠かせない。

スマートファクトリーにおけるローカル5Gの活用ポイント③
・人間の作業のまちがえをAIが指摘する
・新人作業員でもベテラン作業員のように作業できるようになる

リモートワークの活用で工場もコスト削減

 スマートファクトリーでは、人間とロボットが協働して変種変量生産に対応する工場がある一方で、少子高齢化の影響による人材不足への対応で、人の姿がほとんど見られない工場も増えてくる。そういった工場でも、すべての作業を産業用ロボットに任せ、オートメーション化するわけにもいかない。そうした課題に対応するために、さまざまな作業をリモートワークでもこなせる仕組みを積極的に導入する工場も出てくる。

 例えば、ある工場では製造装置の監視は、装置に付けたさまざまなIoTセンサーからの情報をサイバー空間に再現するデジタルツインを見ながら遠隔から行う。遠隔から操作できない保守部品の交換や物理的なトラブルだけ、現場の作業員に対応を依頼する。ロボットを直接操作して行う組み立て作業なども、4Kや8Kによる高精細な映像を見ながら、ロボットアームの触覚まで再生できる技術も導入して遠隔から作業を進める。

 このような環境を構築するメリットは、労働者が自分の働きやすいテレワーク拠点を選べるようになることだけではない。むしろ、企業にとってのメリットの方が大きいといえる。例えば、全国から人材が確保できるのならば、工場そのものは坪単価が低い人里離れた場所に建設してもよいだろう。通勤する社員のための駐車場もいらないので、敷地面積も抑えられる。また、人がいないエリアならば空調設備も省略でき、食堂などの厚生施設も必要がなくなるので、工場の運用コストも削減できるだろう。

スマートファクトリーにおけるローカル5Gの活用ポイント④
・従業員は自分が働きやすいテレワーク拠点を選べる
・企業は工場のイニシャルコストやランニングコストが抑えられる

 このように、ローカル5Gはスマートファクトリーを構築する上で、さまざまなメリットをもたらす通信インフラだ。ミライトは「ローカル5Gオールインワンパッケージ」を提供することで、スマートファクトリーの構築をより低コストで可能にする。そして導入後も、ここで紹介したようなさまざまなローカル5G活用ポイントを、実現させるお手伝いをしていく。また、工場が抱える課題をローカル5Gで解決できるようパートナー企業とともに工場系ソリューションの創出に注力していく。

無線エリア構築ソリューション

https://www.mrt.mirait.co.jp/solution/solution32/

https://www.mrt.mirait.co.jp/wp-content/uploads/pdf/20200610.pdf

オールインワンパッケージ

https://www.mrt.mirait.co.jp/solution/local5G_allinone/

https://www.mirait.co.jp/news/upload_files/20210623.pdf

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