富士通とファナック、NTTコム、製造業DX実現をサポートする新会社。その狙いとは?

 富士通とファナック、NTTコミュニケーションズは、メーカーや商社、システムインテグレーター、機械・装置を利用するユーザー企業など、製造業・ものづくり業界に関わる企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)実現を下支えするサービスを提供する新会社「株式会社DUCNET(ディーユーシーネット)」を11月に設立する。代表取締役は富士通 COLMINA事業本部 戦略企画統括部 シニアディレクター 田中隆之氏が就任する。

 3社は日本の製造業のDXの現状について、「個社単位での対策やシステム投資には限界があり、「協調領域」において業界全体でユーテリティ化(共通利用化)することが必要」との共通認識を持ち、昨年夏からプロジェクトをスタートし、今回の新会社設立にこぎつけた。
※参考:2019年9月12日、ファナック、富士通、NTT Com、工作機械業界向け「デジタルユーティリティクラウド」実現に向けた協業を開始

製造業企業のDX実現に必要な環境をクラウドで提供

 新会社は、どの製造業・ものづくり企業にも共通する、DXを実現するのに必要なインフラや基本機能、ツールが揃った場所をクラウド上に設け、それを各社にテナントとして貸し出す事業からスタート。そこでは堅牢なセキュリティのほか、IoTやAI活用のための便利ツールも用意し、DXの運用面もサポート。さらにEコマースの仕組みも提供し、各社は独自に開発したソフトウェアやサービス等を顧客に販売することもできるようになる。
 それまで企業がそれぞれに整備する必要があったDXの環境構築の手間をなくすことで、自社の強みや付加価値など競争領域の開発・提供力の強化と、サブスクリプションなど新しいサービス・事業展開を後押しする。

中堅・中小製造業のIT人材、資金力不足をカバー

 企業がDXを進めるにあたって大きな課題となっているのが、IT人材の不足とシステム構築の難しさ、設備投資の費用面。特に中堅・中小企業はそれが深刻でDX実現の大きな壁となっていた。新会社はそれに対し、SNSなどコミュニケーションツール、ストレージ、セキュリティ、EコマースなどDXに不可欠な基本機能と、IoT管理や保守業務の支援、AIといった便利ツールを揃えて環境を整備したテナントを設けて貸し出すことで、ITリソースや資金力の弱い中堅・中小製造業企業もDX環境を享受し、DX実現に向かうことができるようになる。

工作機械業界からスタート 3年間で300社目標

 製造業のなかでも初めは工作機械業界からスタート。テナント基本使用料は検討中だが、月額数万円〜となる見込み。設立後3年以内に利用社数300社を目指し、将来的には国内外で1000社以上の利用を目標とする。出資者のひとつでもあるファナックがファーストユーザーとなり、同社のDX基盤としてこれを利用するとしている。
 また富士通も、これまで通りの方法で製造業向けソフトウェアやシステム等を販売していくとしながらも、一方でDUCNET上でソフトウェア販売も行っていくという。
 
 製造業界向けのIoTやデジタル化プラットフォームとして、すでに富士通ではCOLMINA、ファナックではFIELD SYSTEMを展開している。
 それらとの違いについてファナックは、FIELD SYSTEMは工作機械を使うユーザー企業の内部、いわゆる工場や現場の機械で安価にソフトを使えるようにして業務の生産性向上、効率化を支援するIoTプラットフォーム。一方、DUCNETは工場の外側の色々なサービスと連携して良いDX環境が構築できるものと区別している。富士通は、これまでのDX環境の構築は個社対応となっていたが、DUCETは製造業という広い対象に対して公共性の高いクラウドサービスを提供するものとしている。

■プレスリリース 富士通、ファナック、NTT Com、製造業のDXを実現するクラウドサービスを提供する新会社「株式会社DUCNET」を設立

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