産業用ロボットを巡る 光と影(27)

コロナの影響、客先もしくは仕事内容で明暗分かれる

優れたロボットの使い方でリスクヘッジを!

コロナの影響をアンケート

当社は産業用ロボットを導入されている多くの企業をサポートしています。そこで、「コロナの影響で仕事はどうなりました?」というアンケートを行いました。なお、このアンケートは、最近よく見る『中小企業の社長1000人にアンケート』ではなく、『現場サイドの方』からアンケートをとった為、かなりリアルな回答でした。

また、アンケートを行った全ての皆様が「富士ロボットさんには、とてもお世話になっているので、喜んでお答えしましょう」「おかげさまでティーチングソフトは最高ですよ、何でも聞いてください」と気持ちよく回答して頂き、筆者はとても感激しました。回答の内容を全ては記載できないので、まとめて述べます。

コロナの影響①設備の設計会社

コロナの影響は、売り上げがまったく減っていない企業もあれば、9割くらい減った企業がありました。減らなかった企業は、客先がトヨタ自動車(もしくはスズキ自動車)でした。9割減った会社の客先は、(事情により公表できない会社名は○○○とします)○○○自動車でした。

理由を聞くと、○○○自動車のモデルチェンジによる新規プロジェクトはコロナで凍結したようです。トヨタ自動車はコロナの前から国内生産に舵を切っていたため、新規プロジェクトに影響は及ばなかったそうです。

なお、○○○自動車の新規プロジェクトは「少なくとも今年中は凍結した状態が続く」と噂が流れています。シビアですね。

余談ですが、当社の顧客は製造業ばかりと思われるかもしれませんが、簡単ティーチングソフトRobotWorksは、リミットチェック等の機能も充実しているので、設計会社が「ロボットのベストな位置」を検証する為でも使っています。よって、当社の顧客には「3Dで設備設計」などを行っている会社も複数あります。

コロナの影響②製造業

とはいえ、当社の顧客の大半は製造業(しかも中小企業)です。コロナの影響は、こちらも仕事の『内容』により多少違いましたが、驚いたことに「仕事は殆ど減っていません」という回答が殆どでした。なお、一部の顧客で「仕事は半減」という回答でした。

「殆ど減っていません」の企業は『小ロットの加工』もしくは『試作品の製作』を主に行っている企業でした。「半減」の企業は自動車などの『量産の製造』を行っている企業でした。なお、客先が『医療』や『航空』の企業も仕事は殆ど減っていませんでした。

再び余談ですが、「富士ロボットの顧客は、殆どが自動車関連では?」との質問をよく頂きますが、実は客先が自動車関係ではない企業が殆どで、しかも『小ロットの加工』を行っている中小企業です。なぜなら、本来は『大ロットのハンドリング』よりも『小ロットの加工』の方が圧倒的にロボット化が難しいのですが、これを成功に導く事が当社の得意技の為です。

ロボット化でリスクヘッジを!

実は、アンケートをした際に顧客の皆様から、思いもよらぬ声も頂きました。それは、「富士ロボットさんのおかげで、コロナの前にロボット化(省人化)が成功できていたので、リスクを軽減できた」という声です。

その1つ目が、感染リスクの軽減です。ご存じとは思いますが、製造業ではどうしてもテレワークができない仕事ばかりです。しかも、製造業の中小企業は狭い工場で人が密集して仕事をしてきました。加工機を多く取り入れている企業でも、1つの加工機の前に1人が一日中張り付いており、海外と比べると工場は人だらけです。ところが、当社の顧客では、1人で複数のロボットを管理するという体制の為、人と人との間隔が大きく空いています。よって、「会社の規則でマスクを付けていますが、マスクはいらないくらいです」という声を頂きました。

2つ目に、人件費のリスクの軽減です。たとえ仕事が減っても、ロボットは『仕事が無くても給料を払う』必要がなく、「無駄な人件費を払わないで済む安心感があります」という声を頂きました。

3つ目に、技術の継承のリスクの軽減です。「この人が居ないと」という技術者が病に伏せる事があると、製造がストップしてしまいます。技術者の高齢化も進んでいる為、「この人」をロボットに置き換える事に成功できた事は、企業にとって意義深いようです。

最後に最近の話ですが、今回のコロナ騒動を機に、上記リスクヘッジの重要さに気付かれる企業が増えており、当社に多くのお問合せを頂けるようになりました。この記事を読まれた方も「うちの会社は、どうせロボット化は無理」と諦めずに、遠慮なくご相談ください。

◆山下夏樹(やましたなつき)
富士ロボット株式会社(http://www.fuji-robot.com/)代表取締役。福井県のロボット導入促進や生産効率化を図る「ふくいロボットテクニカルセンター」顧問。1973年生まれ。サーボモータ6つを使って1からロボットを作成した経歴を持つ。多くの企業にて、自社のソフトで産業用ロボットのティーチング工数を1/10にするなどの生産効率UPや、コンサルタントでも現場の問題を解決してきた実績を持つ、産業用ロボットの導入のプロ。コンサルタントは「無償相談から」の窓口を設けている。

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