ディープインサイト、IoT端末やスマホに組み込めるエッジAIの提供開始

AIの利⽤コストを削減
セキュリティや即時性を向上し5G時代のIoT端末の普及促進

〜第⼀弾は産業⽤PC世界⼤⼿のアドバンテックと協業。三菱UFJキャピタルから1億円の資⾦調達も〜

IoT 端末やスマホに組み込めるエッジ AI を提供するディープインサイト(東京都品川区)は、11月18日、深層学習(推論と学習両⽅)を可能にする組み込み型エッジAI「KAIBER engram(カイバー エングラム)」の提供を国内で初めて開始した。

これにより、IoT 端末の提供企業は、端末とクラウドサーバー間の通信コストを従来のエッジ AI を活⽤するよりも削減することが可能になる。また、収集したデータの漏洩に対するセキュリティや学習分析の速度が向上し、安定した性能の AI を活⽤した IoT 端末の開発が可能。

同社は今回、三菱 UFJ キャピタルが運営するファンドから 1 億円の第三者割当を行なっており、この資⾦調達によりエッジ AIの開発体制を強化し、さらなる機能拡充を行うとしている。IoT ゲートウェイや PLC、産業機械へのライセンス搭載について、関連企業と協議を進め、2020 年末までに 20 社の導⼊を予定している。

 

「KAIBER engram(カイバー エングラム)」を活⽤したIoT製品の仕組み

 

開発の背景

より⼈間の脳に近い⼿法で学習・法則化・予測を⾏う Deep Learning(深層学習)。この深層学習型の AI が昨今主流となりつつあるが、この AI は⼤量のデータを扱うため、⼩さな端末では⾏うことができず、AI カメラなどの IoT 端末においては、端末で収集したデータの分析と予測をクラウドで⾏っていた。

ところが、クラウドの利⽤は通信データ量に応じた従量課⾦制がとられているため、学習や予測を⾏うにつれコストが嵩む構造となっていた。そのため、近年では端末にAI を組み込み、事前に学習したデータから予測を⾏う「エッジ AI」が増加している。

同社はこれまで、「エッジ AI」を⼿軽に搭載できる開発⽀援ツール「KAIBER(カイバー)」を提供してきたが、2020年から⽇本国内でも 5G の利⽤が開始され、より多くのデータ通信が⾏われることが予⾒される中、さらなる通信コスト削減や、安定した性能の IoT 端末の開発⽀援を⽬的に端末内で深層学習(推論と学習両⽅)を⾏えるエッジ AI の提供に⾄った。

 

KAIBER engram(カイバー エングラム)について

KAIBER engramは、これまでクラウドで⾏われた深層学習も IoT 端末側で⾏えるようにする組み込み型のエッジ AI 。「KAIBER」で培った AI 開発技術を活⽤し、予測機能のみの利⽤しかできなかった端末に、深層学習機能を組み込む事を可能にした。

これまでの「エッジ AI」では、⼯場固有の振動や個々の機械の経年劣化など端末の環境変化への対応に合わせ、⼤量データの再学習をクラウド上で⾏う必要があった。

KAIBER engramは、現場で収集したデータをクラウド上に送り再学習することなく、端末内でリアルタイムに⾃律学習する事が可能となる。さらに、データを社内に留めることや、通信環境に左右されずに利⽤することが可能になり、加えて、クラウドとの通信コストを削減できるため、⾼いセキュリティ性を持ち、リアルタイムでの学習を安定して⾏える低コストの IoT 端末を開発する環境が実現。

また、産業⽤ PC ベンダー・台湾 Advantech 社の⽇本法⼈と協業し、同社の IoT プラットフォーム WISE-PaaS に対応したエッジコンピューティング製品に「KAIBER engram」を搭載し、IoTデータのエッジ AI 解析ソリューションの提案を開始していく。

 

本学習エンジンのデモ展⽰について

11 ⽉ 20 ⽇〜22 ⽇に、パシフィコ横浜で開催される「Embedded Technology 2019 展」において、エッジコンピュータに「KAIBER engram」を組込み搭載したリアルタイム⾃律学習のデモを実施予定。
(⼀般社団法⼈:体験設計⽀援コンソーシアム(CXDS)ブースにてデモ展⽰予定)

 

KAIBER engram(カイバー エングラム)概要

IoT 端末側での深層学習(推論と学習両⽅)を可能にする AI エンジン。同社が全てのコードを⾃社開発しており、低消費電⼒の IoT ゲートウェイや産業機械に容易に移植でき効率的に動作する。

ユニークな演算ロジックのプラグイン構造で新しい AI チップへも柔軟に対応し、GPU を搭載しないエッジデバイスでもセンサーデータ等のリアルタイム学習が可能。異常検知や熟練者しか扱えない複雑な設定等の推奨機能などを簡単に組み込める環境を作ることで、ものづくり企業の AI 応⽤⼒を強⼒に⽀援していくとしている。

提供開始⽇:11 ⽉ 18 ⽇(⽉)
ライセンス料⾦:20 万円から
URL:www.deepinsight.co.jp

 

KAIBER engram(カイバー エングラム)の特徴

柔軟性:省リソース設計でAPI公開によりカスタマイズ可能。将来のAIチップにもプラグイン対応
移植性:多様なデバイス環境に対応。Windowsや組込みLinuxだけでなくRTOSにも移植可能
保守性:OSSにはない保守レベルを提供。完全⾃社コードのため⾞載クラスの品質基準にも対応可能

従来のエッジAIと次世代のエッジAI「KAIBER engram」との⽐較

 

出典:ディープインサイト「国内初、IoT端末側で推論と学習を可能にする組込み型のエッジAIを新たに提供開始」(PDF)

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