2019年版ものづくり白書 デジタル化順調に推移、米中貿易戦争など新たな課題も

令和として初めての2019年版「ものづくり白書」が公開された。

コネクテッドインダストリーズ、IoTやAI、ロボットの活用が着実に進むなか、今回の白書では日本製造業の強みの再確認と、米中貿易戦争による保護主義など世界に広がる新たな変化について触れ、それらへの対策についても示唆している。

 

日本製造業の市況と雇用

日本の製造業の現状について、業績は12年12月以降緩やかな回復が続いているが、足下での売上高・営業利益の水準や、今後の見通しには弱さがある。人件費の上昇や海外情勢不安に伴う調達コストの増加もあり、各企業が慎重な姿勢。

雇用については、人手不足が深刻化し、人材確保に何らかの課題がある企業は94.8%に達している。

 

日本企業の強みとは?

白書では、日本は部素材において高いシェアを占める傾向にあり、それを活かした戦略が有効だとしている。中国での景気悪化を受けて工作機械受注や産業用ロボット輸出が足下で減速。エレクトロニクス系の最終製品は売上額、シェアともに低下する一方で、自動車と部素材が上昇している。

また海外企業との比較について、日本は中国、米国、ドイツ企業と比べ「製品の品質」や「現場の課題発見力・問題解決力」「技術開発力」は優位にあると自ら認識する一方で、「商品企画力・マーケティング力」や「生産自動化、省力化」では劣位にあると思っている。今後の成長分野では品質・技術を活かし市場を獲得していくことが重要としている。

 

日本を取り巻く新たな潮流

IoT等の技術革新を契機として、各国でMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)に代表されるような従来のものづくりの範囲を超える新たな顧客価値提供の動きがあり、異業種からの参入も活発になっている。

日本も「第4次産業革命の進展」「グローバル化と保護主義の高まり」「ソーシャルビジネスの加速」という新たな潮流に囲まれ、これまで以上に複雑な問題に直面している。

「第4次産業革命」では、あらゆる産業でこれまでにないビジネスモデルが誕生し、産業構造が大きく変化。製造業もIoTを使ったサービスや業種間連携によるシェアリングエコノミーなど抜本的な変化に対応する必要に迫られている。

「グローバル化と保護主義」では、グローバル化の一方で米中対立やブレグジットなど保護主義的な動きが見られ、サプライチェーンのあり方においてリスク管理が求められる。

「ソーシャルビジネス」では、環境対策や社会問題をビジネス上のリスク又は機会としてどう捉え、どう行動しているかが投資家から問われる時代になっていると指摘。例えば海洋プラスチックゴミや地球温暖化等の世界的課題について、日本では7割以上が地球温暖化やプラスチックごみ規制はビジネスへの影響が大きいとみなし、好機と捉えている企業は3割程度以下にとどまっている。しかし日本企業も自社の強みを活かせる分野も存在しており、そこへの取り組みが重要だとしている。

 

コネクテッドインダストリーズ第2ステージへ

日本製造業が目指す姿が“コネクテッドインダストリーズ”だが、その進捗について、データの収集を行う企業の割合は足元で減少したものの、収集したデータを具体的な用途に活用している企業は着実に増加している。製造現場でのデータ活用が拡大したことで具体的なニーズや課題が見え始め、製造業のデジタル化は第二ステージを迎えているとした。その一方で、顧客とのやり取りやマーケティングの効率化につなげられている企業はわずかにとどまる。

世界シェアや現場の良質なデータを活かしてサービス提供型のビジネスモデルを確立している事例も出てきている。サーボモータの高いシェアを活かした生産状況見える化サービスを提供する安川電機や、建設生産プロセス全体のデータを収集・管理するプラットフォームを提供して現場の変革を実現したコマツなどを例として挙げている。

コネクテッドインダストリーズを推進するには、AI・IoTを組み合わせることのできるスキルを持った人材の確保と活用が重要。しかし雇用と育成は引き続き大きな課題となっており、育成と同時に彼らが活躍できる環境や土壌の整備が必要となっている。

職人の匠の技や現場のノウハウのデジタル化が必要。品質・技術力を裏打ちする良質なデータが現場に存在するうちに、将来を見据えた対策を行うことも日本の製造業の競争力維持のためには重要で、それが急務となっていると指摘している。

 

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