国内製造業 開発・設備投資に変化

国内製造業は、複数の部材メーカーから調達し、コスト削減へ部品の過剰仕様を避け、また海外部品の使用もいとわない。節電・省エネ対策も費用対効果を優先する。国内製造業の開発や設備投資に対する姿勢が浮き彫りにされた調査結果を、日本電気制御機器工業会(NECA、長崎春樹会長)商社業務委員会(鈴木敏雄委員長)がまとめた。今後の駆動・制御関連機器メーカーの開発や商社の提案営業に貴重なデータとなる。

日本電気制御機器工業会商社業務委員会の顧客満足度調査結果によると、製造業による東日本大震災を踏まえたBCP(事業継続)の取り組みは、「社内在庫の調整」が39・8%を占め、次いで「調達部材メーカーの分散」(30・4%)、「生産拠点の分散」(16・8%)となった。

また、コストダウン対策では過半数の52・2%が「仕様限定のローコスト品の採用」、44・1%が「海外部品メーカーの採用」と回答し、過剰な仕様品よりも搭載機械や装置に合わせて仕様を絞った部品を選定する傾向が浮き彫りになった。

もっとも、メーカーや商品選定の際に重要視するのは「信頼性・安定性」(25・3%)、「品質・コスト・納期」(24・1%)、「品ぞろえ」(12・6%)であり、性能や納期の要求もしている。

節電・省エネ対策では、「LED照明の導入検討」が17・2%、「自家発電設備導入の検討」が6・3%存在するものの、18・9%が「まだ足りない」とみている。

節電・省エネ実施に至らない理由として77・56%が「費用対効果」を挙げている。

近年、国内製造業は設備投資の促進が成長のカギを握り、老朽設備を廃棄し新規設備導入が不可欠とされている。

国内製造業の生産設備は、10年以上経過した設備が約6割存在し、海外と比べ保有期間が相当長く、国際競争で不利な状況に立たされている。

経済産業省が昨年5月に実施した金属工作機械、第二次金属加工機械、鋳造装置、溶接機、溶断機、自動組立装置、産業用ロボットなどを対象とした設備保有期間アンケート調査では、3年未満が10・0%、3~5年未満8・6%、5~10年未満24・0%で、10年未満はわずか42・6%である。

10年以上は57・4%と多く存在し、老朽設備の更新がクローズアップされた。

10年以上の内訳は、10~15年未満が15・9%、15~20年未満11・9%、20~30年未満18・5%、30年以上10・9%となっており、多くの工場では老朽設備を使い生産しているのが現状である。

過去10年間設備投資をしなかった結果、「老朽化による故障頻度が高く生産に支障が出ている」「加工能力が低く加工に複数台必要」「設備の老朽化による消費電力増」などの影響が出ている。

調査では、今後の機械類の更新、新規購入に際しては「価格」「精度」「効率化・省力化」「アフターサービス」を選定条件にあげている。

こうした生産設備ユーザーの投資対効果、低価格重視は、NECA商社委員会の調査結果とも符合しており、顧客のニーズの変化に対応した開発・販売戦略の見直し、構築が重要である。

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