トップインタビュー 白川電機製作所 白川尚樹社長 気負わず”100年企業”背負う

全国22万社以上ある製造業で100年以上の歴史を持つ企業はわずか2%強といわれる。創業100年は想像しがたいほどの価値がある。配電盤システムメーカーの白川電機製作所も昨年、100年を超えた超長寿企業である。43歳の若さで同社の社長に今期就任した白川尚樹氏は「宿命として受け止めている。社名を守り発展させたいが、右肩上がりの業界ではないので、無理をせず、時代に流されない経営をしたい」と大地にしっかり根付いた語り口で、100年の重みに対する自覚はあるものの気負いはない。すでに、同社の自他協調のDNAを継承しており、業界の若きリーダーとしての活躍も期待される。

社長にご就任された感想は。

白川社長
父(白川龍弥現副会長)が社長であったが、入社以来、営業畑で自由にやらせてもらってきた。準備をしていなかったので、これから少しずつ感じてくると思う。ただ、王道の教育は受けてきた。例えば、他社とけんかをしてお客様を獲っても価格が乱れるだけである。お互い協調していかないと業界はうまくいかない。人の輪を大切に、といわれてきた。

最初は、照れくささもあって父と話す機会がなかった。会っても仕事の話はしないようにしてきたが、段々と会話が増えるにつれて、「父を超えられない」とすごく感じている。

他社の経験はあるのですか。

■職業訓練校で工事士の資格

白川社長
父の願う方向を素直に聞いていればよかったのだが、私は旅行などサービス業に入りたいと思っていた。東海大学に入学し、旅行サークルのユースホステル研究会にも所属したが、途中から専門志望が強くなり旅行の専門学校に入った。そして、アミューズメント関係に1年間就職し、それから当社に入った。

電気のことが分からないといけないので、職業訓練校に通い電気工事士の資格を得た。もっとも、営業なので、実際に工事をすることはなかったが…。

100年の歴史を背負うことになります。

■チームプレー経営を志向

白川社長
当社5代目の社長であり、父の家系では4代目である。現在、会社内のことを勉強しているが、会長、副会長を早く楽にさせたいと思っている。

確かに重い看板だが、社名を守って、発展させたい。基本的には、当業界を主力に事業を進め、10年、20年先を目指していくが、海外市場でなく、お客様の信用を大切にあくまでも国内で展開する。

当業界は右肩上がりで拡大することはないので、無理せず現在の基盤で時代に流されない経営をしていきたい。当社はバブル崩壊、リーマンショックもその方針のもとに乗り切ってきた。現在好調の太陽光発電関連事業も別枠と考えている。太陽光発電関連は非常に忙しいが、いつまで続くか分からない。苦しい時代を見てきたので、あくまでもプラスと見る。

経営に当たっては、私は営業畑なので従弟の白川一実常務と2人で一人前と考えている。それに役員を加えたチームプレーで経営したい。

御社の強みは。

白川社長
キュービクルのウエイトが高いが、受配電盤から制御盤まで製造販売し、メンテナンス業務も行っている。小回りがきくし、きめ細やかな営業とモノづくりができる。お客様に迷惑をかけない当社の姿勢を理解して頂いているお客様が多い。ただ、当業界はガラッと変わる世界ではないが、技術革新が遅れているので、今後の課題である。

業界への一言。

白川社長
全くなくなる業界ではないが、パイには限りがあり、自分だけ抱え込んではいけない。業界自体の地位向上を図るため、業界全体に対しても目配りしていく。お客様のプラスにもつながると思う。

■おごり高ぶらず気さく

【記者印象】おごり高ぶることなく気さくである。営業畑できたが、旅行サークルやサラリーマンを経験しているので、会話も弾む。お子さんの学校のPTA会長や子供のバスケットボール部の代表を仰せつかっているのもうなずける。本人は、異なる業種の人たちと会うので勉強になり、面白い世界に入れてもらったと語る。白川電機製作所の歴代の経営者に備わる指導力や吸収力がある。和す目力は業界の若きリーダーとして将来が楽しみである。

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