機械工業の12年度生産額 2年ぶり増加見通し複興需要と設備過剰感緩む

機械工業の2012年度生産額は、11年度比1・3%増の68兆3308億円と2年ぶりに増加となる見通しだ。東日本大震災からの復興需要や企業の設備過剰感の緩和などによって緩やかな回復基調で推移し、中国をはじめとする新興国の景気も徐々に回復するものと見られる、ただ、電力供給不足や円高、さらには欧州の金融不安は依然として残っており、景気回復への懸念材料となっている。
日本機械工業連合会は、関係工業会の生産額見通し調査(12年5月時点)をこのほどまとめた。11年度は1・9%減の67兆46023億円とマイナスであったが、12年度はプラスに転じる。12年度上期は5・6%増の比較的高い伸びとなるものの、同下期は2・5%のマイナスとなる。

業種別生産額は、一般機械が1・0%増の13兆6126億円、電気機械が0・7%増の6兆8578億円、情報通信機械が3・7%増の4兆7349億円、電子部品・デバイスが0・2%増の7兆3582億円、輸送機械が1・0%増の28兆4036億円、精密機械が3・0%増の1兆3710億円、金属製品が1・3%増の2兆7256億円、鋳鍛造品が5・0%増の2兆8352億円となる見通し。

このうち電気機械は、回転電気機械・静止電気機械器具・開閉制御装置は、国内では復興需要に遅れがみられるものの、受配電設備などの電力用機器が堅調で、海外は低迷している汎用品が年度後半からアジア向け輸出の回復を見込んでおり1・7%増。

民生用電気機械は、国内の電力供給不安、円高の進行、企業のグローバル展開に伴い海外生産シフトがさらに進むとみられ6・2%減。電気計測器は、電気計器、電気測定器が減少するものの、工業用計測制御機器、放射線計測器が増加し、全体では1・8%増加する見通し。

一般機械は、ボイラー・原動機は、円高等を背景にした価格競争の激化や生産拠点の海外シフトが進むと見込まれ4・3%減、土木建設機械は、国内は震災からの復興需要、海外は欧米で堅調に推移し、資源開発国向けでも引き続き需要が望め10・3%増、印刷・製本・紙工機械は、引き続き国内外ともに環境対応や生産合理化、小ロット対応に適合した高付加価値設備が増加すると見込まれ2・8%増、油空圧機器は、内需が震災からの本格的な復旧・復興需要、外需は欧州や新興国を中心に厳しさも見られるものの、資源開発関連機器等の需要が期待でき3・2%増。

ロボットは、国内外ともに電気機械産業向けが足踏みながら、自動車産業向けで引き続き堅調が見込まれ7・5%増、農業用機械器具は、国内向けが米価上昇、戸別補償、復興需要等に期待、海外はタイの現地生産化が進むものの、北米、中国での需要拡大が見込まれることから2・0%増。

金属工作機械は、国内が自動車向け等で緩やかに回復、海外はアジア、北米地域向けが堅調で8・5%増、第二次金属加工機械は、円高の影響やコスト競争力の問題はあるものの、輸出が牽引する形で生産増加が期待され3・8%増、鋳造装置は、鋳造機械の輸出の伸び、ダイカストマシンの需要先での設備更新の期待により10・0%増、繊維機械は、編組機械が海外現地メーカーとの競争で厳しいものの、化学繊維機械、紡績機械、織機で増加が見込まれ、全体では3・4%増。

食料品加工機械は、復旧需要や国内外のサプライチェーンの回復による需要先の生産本格化が期待され3・8%増、事務用機械は、海外での現地生産は進むものの、国内の復興需要と前年度の反動増により7・0%増、ミシンは、国内生産および輸出に大きな動きはないと見られ、横ばい。冷凍機・同応用装置は、冷凍冷蔵関連機器等で減少するものの、冷凍空調用圧縮機、空気調和関連機器で増加が見込まれ、全体で0・7%増。半導体製造装置及びFPD製造装置は、TV用大型パネルの設備投資抑制が続き、16・7%減少する見通し。

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