V字回復後も堅調な配線接続機器市場 半導体・液晶製品装置関連、電子部品実装関連分野が好調に推移 安全性・接続信頼性の向上が進む 省配線化で新市場を形成懸念される原材料価格の上昇

端子台、コネクター、配線資材などの配線接続機器市場は、一昨年からの需要回復により順調に推移している。日本電気制御機器工業会(NECA)による接続機器を含めた制御専用機器の出荷高統計では、2009年度(09年4月~10年3月)は前年比6・8%減の1025億円であったが、10年度上期は632億円で前年同期比37・2%増、第3四半期も320億円の同19・1%増で推移している。ただ、第3四半期に入ってからは伸長率が鈍化しており、新年度に入ってからの設備投資に期待がかかる。一方、ここにきて原材料の値上がり傾向が続いていることで各メーカーの懸念材料となっている。しかし、半導体・液晶製造装置関連、電子部品実装関連分野が順調に推移し、自動車関連分野なども戻りつつある。製品的には、小型・薄型化を基本に配線作業の容易化や安全性の向上、接続信頼性の向上などが進んでいる。
配線接続機器市場は、09年の夏以降需要が急回復し、10年後半も堅調に推移している。NECAの制御専用機器の出荷統計では、08年度は1099億円(同12・8%減)、09年度は1025億円(6・8%減)と2期連続で減少していたが、10年度は上期632億円(同37・2%増)、第3四半期も同19・1%増の320億円で推移している。ただ、四半期単体の推移を見た場合、第3四半期の国内は前期比3・4%増だが、輸出が同8・3%減とダウンし、全体では同0・5%減となっている。

またコネクターは、経済産業省の機械統計によると、09年度(09年1~12月)は、前期比4・9%減の4172億円、10年度は同14・0%増の4758億円となっている。これらを合わせると、端子台が約430億円、ケーブルアクセサリー・配線ダクト類が約70億円と推定され、合計で5000億円強という大きな市場を形成している。

国内の市場別では、半導体・液晶製造装置分野、電子部品実装関連分野が堅調に推移している。また、回復していた自動車関連分野は、エコカーポイント制度の廃止の影響などで一服感が出ている。一方、デジタル家電を中心とした民生分野は、リーマンショック以降、産業分野ほど打撃は受けていなかったが、この分野もエコポイント制度の終了の影響が今後どのように出てくるかの見極めが続いている。また、地上デジタル波移行に伴う地デジチューナーの需要は、現在のところ思うように伸びていない模様である。

工作機械関連分野、ロボット関連分野も昨年以降好調な動きを見せている。日本工作機械工業会がまとめた今年1月の受注速報は、前年同月比89・4%増、前月比も5・6%増となっている。年間の累計では前年同月比137・6%増と2倍以上の数字となっており、大幅に回復していることが伺える。

太陽光発電や風力発電などの新エネルギー発電関連、さらに電力送配電の効率化を狙いとしたスマートグリッド絡みでの新市場も成長を見せている。電力や重電分野は、ほかの分野が落ち込んだ一昨年も堅調な動きを見せていたが、それ以降も堅調に推移している。

海外での電力投資は依然として活発で、特に中国や東南アジア、中近東、ロシア、さらにインドや南アフリカといった新興国では、電力、天然ガス、鉄鋼関係を中心にプラント設備投資が進んでおり、端子台のほか、モーターや発電機などの需要も増加している。

一方、原材料価格が昨年後半からじわじわと値上がりしており、メーカーを圧迫しつつある。加えて中東地域では、民主化運動がアラブ諸国に拡大しているが、今後の動向いかんではさらなる原油の値上げも予想され、今後、懸念材料に発展する可能性もある。すでに一部のメーカーでは基板材料の値上げを実施している。また、一昨年から昨年はじめにかけ、急速な需要回復に伴う納期遅れが生じたが、これはほぼ正常に戻っている。

端子台市場で大きな割合を占める民生機器分野向けは、プリント基板タイプが多く採用されている。プリント基板対応タイプは、インテリジェント化、薄型化、省スペース化、狭ピッチ化が進んでおり、さらなる伸長が見込まれる。

配線作業の省力化につながる圧着端子とバネを一体化したタイプは、各社独自のノウハウで製品展開を図り定着している。バネ式端子台は、長期間の振動にも強いため(振動によるねじの緩みがない)、公共の輸送・交通設備にも採用されている。また、欧州式の圧着端子を使わないタイプも浸透している。作業性の良さと安全性などが大きなポイントといえる。国内メーカーでも、このタイプを品ぞろえしており主流になっている。

リレーバリア、ランプバリアなどのコネクター接続タイプでは、小型・軽量化が進み、収納ボックスの小型化、コストダウンが図られているほか、防爆構造タイプの製品も伸長している。

現場でのアース工事が不要で、非本質安全端子側の配線は電源2本とコネクターだけのため、配線工数の大幅削減につながる。国内の防爆規格やNK規格、さらに欧州のATEX、米国のFM、カナダのCSAといった海外規格にも対応している。

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